イラスト/ジェントルメン中村

【考察】「半沢直樹」はいつどこで「倍返しだ!」と言ったのか

5分で分かる「半沢直樹」②

7月19日、いよいよドラマ『半沢直樹』がスタートする(TBS日曜劇場/夜9時~)。2013年に社会現象となった人気作の続編だが、7年ぶりということもあって、「半沢直樹…どんな話だったっけ?」「そもそも見てなかったんだけど…」という方もいらっしゃるだろう。

本記事では、書評家の村上貴史さんに、『半沢直樹』の魅力を、ゆる~く解説してもらう。ドラマや原作未読の方も是非お楽しみください!

「倍返し」というパワーワード

というわけで第2回です。

今回は「倍返し」について語ってみましょう。半沢直樹といえば倍返し、倍返しといえば半沢直樹、というくらい切っても切れない両者なのですが、私としては、「倍返し」の3文字だけでは「半沢直樹」の4文字とバランスを取るには不十分だと思ってます。

シリーズ第1作『半沢直樹1 オレたちバブル入行組』で初登場したこの「倍返し」というパワーワードですが、3行に及ぶ半沢直樹の台詞の一部として書かれているんです。この3行は、相当に重要な3行でして、半沢直樹の人物像が凝縮されているんですよ。

<「オレは基本的に性善説だ。相手が善意であり、好意を見せるのであれば、誠心誠意それにこたえる。だが、やられたらやり返す。泣き寝入りはしない。十倍返しだ。そして――潰す。二度とはい上がれないように。浅野にはそれを思い知らせてやるだけのことさ」>(『半沢直樹1 オレたちバブル入行組』より引用)

イラスト/ジェントルメン中村
 

なので、ちょっと読み解いてみるとしましょう……といっても、いきなりそれを語り始めるというのは、少々焦りすぎですね。実のところ、この台詞が原作で登場するのは、第1作の後半に入ってからなんです。なので、もうすこし背景説明が必要かと。

TVドラマ『半沢直樹』では、第1話のサブタイトルには、すでに「倍返し」という言葉が入っていたりして、それと較べると、ずいぶんと扱いが異なっていたんですよ。それに、思い返してみれば、この連載の第1回では、まだ序章の就職活動のことまでしか紹介していなかったわけですからね。焦らず焦らず。