このくらいはできてもいいはずなのに……。うちの子、どうも様子が変だ。親が「育てにくさ」やほかの子との違いを強く感じる子どもには、発達障害や知的障害の傾向があると考えられる場合が少なくないそうです。
そうした傾向があると、子どもの将来や家族の生活などに不安を覚えてしまいますが、成長の過程で"わかりやすい"家庭の環境をつくり、"わかりやすい"働きかけ方を続けていけば、できることは着実に増やせるといいます。
子どものもてる能力を最大限に伸ばすために、心がけたいことを考えてみます。
よそのお子さんにはとっくにできていることが、うちの子はまだできない。「ママ」や「パパ」という言葉を口にしない。簡単な会話も成立しない。何度注意しても走り回る……
「この子は育てにくい」「ほかの子より成長が遅い」と感じているお子さんには、発達のかたより(発達障害の傾向)や発達の遅れ(知的な遅れ)があると考えられる場合が少なくありません。
発達のしかたにみられる特有の傾向から、苦手なことがあり、また子ども自身が困ることが生じているのであれば、発達障害の傾向があると考えられます。
発達障害のある子どもには、年齢相応に発達する子どもとは異なる特有の傾向がみられ、それが「育てにくさ」や「ほかの子との違い」を感じさせることにつながっていると考えられます。
発達障害は、その特性の現れ方から、自閉症スペクトラムやADHDなど、いくつかの状態に分類されます。
これに対して知的障害は、全体的に発達の遅れがあり、そのために子どもが困惑している状態をいいます。知的障害も広い意味では発達障害といえます。
発達の特性は、特徴的なふるまい、得手・不得手といったかたちで現れ、その現れ(特徴)により障害名が分かれています。
おもな発達障害と知的障害
しかし、1つの障害だけにあてはまる例ばかりとは言えません。
たとえば、こだわりが強いが衝動的な行動も多いなど、複数の障害にあてはまる特徴のある子どももいます。
また、特性・特徴がみられても、ただちに診断が確定するわけでもありません。たとえば、衝動性の高さはADHDの特性の1つですが、知的な発達の遅れがあり、衝動を抑える力が弱いことが、衝動的な行動に結びつくこともあるからです。
障害名は、子どもの特性を知る目安にはなりますが、どのような特性が強く、どんな点が困っているかは、ひとりひとり違います。子ども自身をよくみること、特性を知ったうえで接していくことが大切です。
特性は、様々な形で現れますが、次ページではそうした子どもの気になるサインをご紹介したいと思います。