一般市民の新しい「共助」を広げるために

中澤さんは、近所づきあいが希薄な東京で、新たな「共助」のセーフティネットを構築すべく、新たな共助のしくみを模索している。一例として、「Coaido119(コエイドイチイチキュー)」というアプリの普及がある。

「AppStoreで無料ダウンロードできるこのアプリをスマホ(現在はiphoneのみ)に入れておけば、万が一の時に、ボタン1つで、『119番通報』しながら、『近所にいる救命の有資格者』と『AEDの設置施設』へのSOSを同時発信することができます」

目の前で家族や隣人が急病で心停止、あるいは熱中症で倒れたとき、どうしていいか分からずパニックになった際でも、スマホのボタンを一押しするくらいならできるのではないだろうか。

「新型コロナ禍の心停止傷病者への応急手当については、消防署などで、以下のような指導が行われています。

・傷病者にもマスクをさせる、または、タオルやハンカチで鼻と口を覆う。
・成人の場合は、胸骨圧迫のみを実施する(人工呼吸は行わない)
・実施後の手洗い、うがいの励行

一方熱中症は予防が重要です。

まずは、熱中症にならない・させない生活を心がけることが重要だと思います。さらに、どうしても応急手当が必要な状況になったときのことを考えて、目・鼻・口からウイルスを吸い込まないよう、マスクやメガネ、手袋などを持ち歩いておくのもよいと思います」

マスク、メガネ、手袋の応急手当3点セットを日常的に携帯しようという人は、コロナのご時世でもあまりいないような気がするが、中澤さんは今、興味深い現象が起きているという。

「ここ10年間は増加の一途をたどっていた救急車の出場件数が、東京都では前年比マイナス約5万件も減っています。医療崩壊を防ぐために、皆さんが不要不急の外出を控えているお陰で、救急搬送も減じているのかもしれません。もちろん、必要なSOSは躊躇なく発信するべきですが」

中澤真弓(なかざわ・まゆみ)保健医療学部救急医療学科准教授。政策研究大学院大学 公共政策プログラム 防災・危機管理コース 修了 修士(防災政策)(政策研究大学院大学)、修士(健康科学)(帝京平成大学)。資格・免許:救急救命士、防災士。

参考/周囲の助けも得られる119番通報アプリ