朝鮮労働党幹部が明かした「金与正・南北共同連絡事務所爆破」の真相

文在寅に分からせてやることにした…
近藤 大介 プロフィール

南北共同連絡事務所爆破の真相

――北東アジアに大きな衝撃を与えた開城の南北共同連絡事務所の爆破は、金与正(キム・ヨジョン)党第一副部長や北朝鮮メディアが非難していたように、韓国の脱北者団体のビラ散布が原因だったのか?

朝鮮労働党幹部: 「そのように受けとめてもらっては困る。ビラ散布は、文在寅が北南間の約束を違えたという一つのきっかけであって、本質的な問題ではない。

最大の目的は、わが方が、文在寅に対して本気で怒っているのだということを、南朝鮮(韓国)側に分からせるためだ。彼らはいつまでたっても理解していないようだから、はっきりと目に見える形で分からせてやったのだ。

われわれは、2018年2月に平昌(ピョンチャン)冬季五輪に参加して以降、文在寅の提案を受け入れ、彼らの忠言に従ってきた。敬愛する最高領導者同志(金正恩委員長)は、文在寅と3度も首脳会談に臨み、文在寅の言葉に耳を傾けた。

当時、文在寅はわれわれに、何と言ったか?

『私とトランプの間では、100%話がついている。トランプは(朝鮮)半島情勢に関して、私の言うことを何でも聞く。

トランプの目的は、われわれの民族を利用して、大統領再選を果たすことだ。だから、(北朝鮮との)関係が改善したという形さえアピールできれば、何でも譲歩する……』

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特に、トランプとの2回目のハノイ会談(2019年2月)の前に、文在寅たちはわれわれに、こう力説した。

『トランプには次の会談で、貴国(北朝鮮)に対して3つの譲歩を用意させる。第一に国連の経済制裁の緩和、第二にアメリカの独自制裁の緩和、第三に人道支援だ。そしてアメリカとの協議が進んで行けば、あのやっかいな日本も、簡単に乗っかってくる』

その際、こちら側の譲歩に関しては、こう言った。

『すべては行動対行動が基本だ。まず貴国は、寧辺(ニョンビョン)の核施設を段階的に放棄すると宣言するのだ。その際、アメリカ人技術者も招待して、検証作業を行うと言えばよい』

いまだから明かすが、敬愛する最高領導者同志は、文在寅ら南朝鮮の言うことに半信半疑だった。だが、いろいろと内部で話し合っているうちに、ハノイまで出かけていくことになったのだ。

それが、ハノイでのトランプはどうだったか。『すべての核とミサイルを放棄せよ』と、あからさまにわれわれを脅してくるではないか。文在寅たちから聞いていた話と、まるで違うことを言うのだ。

 

それでもこちらは、寧辺の核施設の放棄に言及した。だがトランプは、『それだけでは、アメリカは何も与えない』と、にべもなかった。

これでは、行動対行動の原則に会わず、こちらばかりが譲歩していくことになるではないか。それならもうこれ以上、話し合う余地などないということで、こちらから会談の席を立ったのだ」