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「政府頼みのANA、距離を置くJAL」コロナ危機で生き残るのはどっちだ

対照的な両社の対応…今後の焦点は
町田 徹 プロフィール

こうした機材には、長年の不適切な会計処理が災いして、帳簿上の資産価格が市場価格を大きく上回り、重く膨らんだ償却負担がのしかかるという問題もあった。このカラクリを詳しく知りたい方は、筆者が8年前に上梓した『JAL再建の真実』(講談社現代新書)を参照してほしい。

 

JALが陥った「クレジット・メモ」の罠

元凶は「クレジット・メモ」を巡る会計処理にあった。

「クレジット・メモ」は、航空機やエンジンを購入した際に受け取るリベート、もしくはキックバック、値引きをいう。欧米の航空会社は航空機やエンジンを購入して「クレジット・メモ」を受け取った場合、その航空機の正札価格から「クレジット・メモ」の金額を差し引いて損益計算書に費用として計上していた。これが正しい会計処理だ。

ところが、破綻前のJALやかつてのANAは、航空機の正札価格を費用に計上する一方で、「クレジット・メモ」を「営業利益」に計上、収益を実態よりよくみせる“お化粧決算”に使っていた。冷静に考えれば、飛行機を買って利益が出ることなどあり得ない。それなのに、当時のJALはこうした粉飾まがいの決算を大規模に継続していた。

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他にも、自己資金が枯渇する中で機材を手当てするために発生した巨額のリース債務を簿外処理して、バランスシートに計上していなかった。きちんと計上すれば、JALは債務超過という形での経営破綻を免れなかったので、筆者は実際に破綻する数年前から、この状態を“隠れ破綻”と呼び、警鐘を鳴らしていた。

前述の『JAL再建の真実』で詳しく解説しているが、「クレジット・メモ」の不適切な会計処理は、将来にツケを回すことに他ならない。バランスシートに計上する保有航空機の資産価値を市場価格よりも大きく押し上げて、多額の償却負担を後年度に生じさせるものだからだ。

会計基準の厳しいニューヨーク上場を目指していた旧ANA経営陣がこのリスクに気付いて、早くから自主的に「クレジット・メモ」の圧縮・解消を進めていたのに対し、破綻前のJALは後年度負担が膨らんでしまい、穴埋めするために、より多くの「クレジット・メモ」を計上して急場をしのぐというアリ地獄にはまっていた。