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「政府頼みのANA、距離を置くJAL」コロナ危機で生き残るのはどっちだ

対照的な両社の対応…今後の焦点は
町田 徹 プロフィール

当然、各社の業績は眼を覆うばかりだ。2020年1~3月期決算では、ルフトハンザが2500億円、米アメリカン航空が2400億円弱、エールフランスKLMが2150億円、米ユナイテッド航空が1800億円と欧米の大手航空会社がそろって巨額の最終赤字を計上した。

一方、欧米勢に比べれば、日本勢の最終赤字はANAが587億円、JALが229億円と赤字額はそれほど大きくはない。これは、コロナ感染拡大が日本よりもずっと早く、深刻で、長期間にわたり外出や移動の厳しい規制が敷かれた欧米との差を反映した結果だ。

 

ANAの赤字が膨れあがった理由

話を日本の2社に限ると、ANAの最終赤字額は、JALの2.6倍近くに達している。JALより深刻な状況にあることは一目瞭然だ。

では、この差はどこから生じたのか。結論から言えば、この差は両社のコストに占める固定費の差異から生じた。

経営や会計の分野ではコストは2つに大別される。ひとつは売り上げの増減に応じて変動するもので、「変動費」と呼ばれる。もうひとつは、売り上げの増減に影響を受けないもので、「固定費」という。航空会社の代表的な固定費は機材(飛行機)コストと人件費で、変動費の大半は燃料費だ。

ANAはJALに比べて固定費比率が高いので、コロナショックに伴い旅客収入が減ってもコストがあまり下がらず、JALに比べて巨額の最終赤字を計上する結果になったのだ。

確認のため、両社が運航している機材の推移を見ておこう。

(※注:「JALの機材の推移」について、2010年3月と2011年3月が同社の破綻に伴う更生手続き中でデータがないため、当該部分は破線で示しています)

JALは、2010年1月に破綻。国策支援で抜本的なリストラクチャリング(再構築)の断行を迫られた。その後も、国策支援で再建したJALがライバルのANAなどの経営を圧迫すべきでないという理由で投資を厳しく制限された影響がはっきりと出ている。

保有機材の推移を示したグラフを見ていただきたい。JALは経営破綻前の2009年3月末に279機を抱えていた。この中には、すでに老朽化して、燃費の悪い航空機も少なくなかった。運航には適さないので、米国の砂漠の中にある駐機場を借りて人知れず隠居させている機材があるとの噂まで出るような始末だったのだ。