新型コロナウイルスの影響で旅客需要が激減し、世界の航空会社が経営危機に喘いでいる。欧米勢と比べれば衝撃が小さかったとはいえ、日本の大手2社であるANAホールディングス(以下、ANA)とJALも2020年1~3月期決算で最終損益が赤字に転落した。
両社は来年3月末に向けても市況があまり回復しないと見ており、売り上げの落ち込みを補うために借り入れを中心として巨額の運転資金の確保を済ませており、十分な危機への備えができたと説明している。
しかし、よく見ると両社の対応は対照的だ。
ANAは政府系金融機関の政策投資銀行から新たに3500億円を調達したうえで、グループ会社を含めた4万2000人を一時帰休させるための資金を政府の雇用調整助成金で賄い、政府への依存度を高めている。これに対して、JALは政府と一定の距離を保とうと雇調金の受給などを避けている。
JAL破綻の原因も含めて、航空業の歴史は国策への依存の歴史といっても過言ではない。にもかかわらず、両社はなぜ対照的な戦略を採ったのだろうか。果たして、どちらの勝算が大きいか。そんな事情も読み解いてみたい。