工夫の必要なし?『エール』はなぜ”無策”で再放送を続けるのか

朝ドラのおごりかもしれない
木村 隆志 プロフィール

コロナ禍でも民放ほど困らない理由

まだ『エール』の再放送はスタートしたばかりだけに、民放各局の対応を見ればやれることはたくさんあり、今からでも決して遅くないだろう。

今春NHKはコロナ禍にいち早く対応し、民放各局よりもリモートドラマを積極的に制作・放送した。

柴咲コウ、ムロツヨシ、高橋一生、小日向文世などの豪華キャストをそろえた『今だから、新作ドラマ作ってみました』、松下洸平と桜庭ななみの『スカーレット』コンビが再共演した『ホーム・ノット・アローン』、広瀬アリス・すず姉妹や永山瑛太・絢斗兄弟などが出演して脚本を坂元裕二が脚本を手がけた『Living』。いずれも力作だったにも関わらず唐突な放送のためか、あまり多くの人々に見てもらえなかったのが残念だった。

 

NHKがこんなに緊急対応のリモートドラマを作れたのは、「民放各局よりも人・時間・お金にゆとりがあるから」にほかならず、しかも民放各局のようにコロナ禍で収入が激減することもない。放送休止しているからと言って、民放各局ほど困っているわけでも、焦っているわけでもないのだ。

また、NHKのドラマは、スタッフの数が多く、撮影時間が長く、リハーサルも多いことで知られているが、これも民放各局のテレビマンに言わせれば「ゆとりがありすぎ」ということになる。これらの制作体制を一時的にでも民放レベルに近いところまで効率を上げられたら、『エール』の再放送に工夫を凝らせたのではないか。

朝ドラは最大の視聴者数を持つNHKの切り札だけに、「受信料制度への不満を軽減させる」という意味も含めて、もっともっと大切に扱うべきコンテンツに思えてならない。