コロナ禍で「月14万の住宅ローン」が払えなくなった60代男性の悲劇

「ゆとりローン」の罠
高橋 愛子 プロフィール

しかし、金融機関の回答はNOだった。金利を下げるということはしていない、借り換えをするしかないという。

だが、年齢的にも収入的にも借り換えに応じてくれる銀行はない。散々相談したが、難しかった。Yさんは「定年前に借り換えをしておくべきだった」と嘆く。

〔PHOTO〕iStock
 

「ゆとりローン」の罠

私は住宅ローン返済に関する相談を受けるNPO法人を運営しているが、このところ、Yさんのような定年前後の年齢の人たちからの返済の相談が増えている。その多くが、定年前後にもかかわらず住宅ローンが残っていて返済が厳しいというものだ。

なぜ定年前後の人たちが住宅ローン返済に苦しんでいるのだろうか。

直接的には、Yさんの事例のようにコロナウィルスの蔓延によって収入が大きく減ったりゼロになったりする人が増えていることが大きいだろう。

住宅ローン返済が困難になる場合、借り入れ当初には想定していなかった「不測の事態」が起きていることが多い。たとえば、Yさんのような退職金の減額、会社の経営不振、物件の大幅な時価の下落、震災、災害…コロナショックももちろんその一つだ。

こうした「不測の事態」に加えて、現在、定年前後の年齢を迎えた多くの人を苦しめているのが「ゆとりローン」の存在だ。ほかならぬYさんもこのローンを組んでいた。

「ゆとりローン」とは、バブル崩壊後の1992年から2000年に出された旧住宅金融公庫の住宅ローン商品である。

ゆとりローンの返済の仕組みは、当初5~10年間のゆとり期間中は返済金額を抑え、ゆとり期間終了後にその分を上乗せして支払うというもので4%前後の金利が多かった。

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