「安倍は戦犯の孫」という低質さ…ネット右翼とネット左翼が似ている理由

問題は思想の左右ではない
辻田 真佐憲 プロフィール

「教育勅語」を例にあげてもよい。自身が「教育勅語」を肯定しているならば、同じ肯定論者の意見でも、ちゃんと中身を真剣に読んでいるかどうか、精査しなければならない。得票や愛国ビジネスのため「スゴイ、スゴイ。復活、復活」と譫言のように唱えている不届き者は、むしろ積極的に批判すべき対象となるだろう。

近年、「教育勅語スゴイ」と言っていた者が、何かのきっかけに「安倍は戦犯の孫」と言うようになり、これまでの「敵」から拍手喝采されるという事態も生じている。「なんでこの人が左翼/右翼の英雄になっているの」現象とでも呼べば、パッと誰かが思い浮かぶだろう。

 

だが、良識ある者は、これを一顧だにしてこなかった。なぜならそれは、クオリティーの低い者が記号を弄び、脊髄反射する者たちを喜ばせているにすぎないとわかっていたからだ。

こういう事例に一喜一憂しても仕方ない。右でも左でも、できるだけ質を高めることが肝心なのであって、「本当の保守」や「本当の左翼」を目指すことは、けっして嘲笑されるべきではないのである。

クオリティーさえ担保されていれば、右も左も多様性のうちだし、両者のあいだで実りあるコミュニケーションも可能とさえいえる。