何が「電子政府」だ? 日本政府のITはなぜこうもダメダメなのか

癌は官庁のトップと政治家だ
野口 悠紀雄 プロフィール

なぜダメなのか? 誰がダメなのか?

もともと日本は、ハードは強いがソフトは弱い。とりわけ、ITに弱い。それが行政の仕組みにも反映しているだけとも言える。

しかし、日本が弱いなかで、とくに行政が弱いのだ。だから、その理由を探る必要がある。

もっとも大きな原因は、行政は、IT化を進めて生産性をあげるインセンティブを持たないことだ。これが民間企業との本質的な違いである。

しかし、担当者は苦労しているに違いない。だから、現状を改革したいのだが、官庁のシステムはあまりに大きく、1人ではどうしようもないのだ。

したがって、官庁のトップ、あるいは政治家が改革を進めなければ、事態は変わらない。ところが、こうした人々でITの感覚がない人がほとんどなのだ。
 
彼らはITを政治や行政に利用することを目的にしてこの世界に入ったわけではない。彼らの目的は、別のところにある。そして、仕事をアシストする人は大勢いるから、自らはコンピュータを用いない。

ITが重要とは聞かされていても、最新技術の中身を詳しく知っているわけではない。だから、重要な決断であっても、専門家にまかせることになる。

 

こうした環境は、納入業者にとっては最適の環境だ。専門家は、自分の領域を守ろうとする。発注の責任者にITの知識がないと、仕様は自由に決められる。仕事の効率化にはあまり役立たないシステムが導入され、価格が高くなってしまう。

改革をしようとしても、既得権を持つ納入業者が抵抗する。

以上で述べたのは、日本がもともと持っていた問題が、コロナで明らかになったというだけのことだ。

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