何が「電子政府」だ? 日本政府のITはなぜこうもダメダメなのか

癌は官庁のトップと政治家だ
野口 悠紀雄 プロフィール

紙とハンコから抜け出せない

5月24日公開の「コロナ時代には『紙とハンコ』の文化はヒトの命をおびやかす」などで述べたように、日本では、紙とハンコによる事務処理が続いている。

いくら企業内で改革を進めても、結局は役所が紙とハンコしか認めないので、進めない。OECDの生産性に関する統計では、日本は最下位のグループだ。こうなってしまう大きな原因は、事務処理のデジタル化を進められないことだ。

日本総研「新型コロナ禍が促す公的セクターのデジタル革新 」によると、中央省庁全体で行政手続きは5万5000以上あるが、役所に出向かずネット上で完結できるのは4000件強であり、全体の7.5%でしかなかった。

デジタル政策の旗振り役の経済産業省(7.8%)や総務省(8.0%)も、1割に届いていない。国土交通省は2.8%、農林水産省は1.3%だった。

「IT先端国家」を目指したのは20年前のこと

日本政府は、 2001 年の 「e-Japan 戦略」以来、電子政府の実現を目指してきた。これは、もう20年も前のことになる。

この間に世界は大きく変わった。しかし、日本は少しも変わらなかったのだ。このとき、「2003年までに実質的にすべての手続きをネット化する」とした。しかし、実態は遅々として進んでいない。

 

最近では、ITに関連して、「2025年の崖」(情報システムにおけるレガシー問題)やDXへの取り組みなどが指摘される。確かにこれは大変な問題だ。

ただし、日本政府の現状は、それよりはるか以前の段階でつまずいているのだ。