コロナ対応で、民間企業の多くが在宅勤務を始めた。そこで使われたのがテレビ会議だ。しかし、政府はこれをうまく使えていないようだ。
各省庁は、個別にネットワークを構成している。このため、他の省庁や民間企業との間のテレビ会議が難しいという。
「自民党が開いたテレビ会議に、ある官庁の職員が職場のシステムからは参加できず、党本部に出向いて端末とネット回線を借りた」というジョークのような話を日本経済新聞が報道している。
隣の官庁との間でシステムが違うため、双方のLANで業務をするため2台のパソコンを使うケースもあるという。
テレビ会議の途中で音声が切れたりするので、重要な会議は、対面での開催が続いた。
麻生太郎副総理兼財務相は、6月26日午前の記者会見で、政府のテレビ会議の通信環境について「一番ひでえのが(首相)官邸だな。しょっちゅう音が切れる」と述べた。
菅義偉官房長官は、会見で「時々つながりにくくなることがあり、必要な対応をとるよう、その都度指示している」とした。
われわれが普通に使っているテレビ会議のシステム(zoomやteamsなど)では、音声が途切れることなど、滅多にない。日本政府はずいぶんと出来の悪いシステムを使っているようだ。
日本政府がテレビ会議を使えなかったのは、いまに始まることではない。
2016年に、消費者庁は、徳島市への移転検討のため、7月にテレビ会議の実験を行なった。約1カ月の実験で、職員43人が参加した。
結果の報告書では、「首相官邸や他省庁が東京に集中する現状では、テレビ会議システムを活用しても業務を補いきれない」とした。
この実験では、宿泊費やテレビ会議システムの構築費などに、2760万円の費用がかかった。なぜ3000万円近い経費がかかるのだろう? その当時でも、skypeなどを使えば、すぐにでもできたろうに。自前のシステムを作らなければ安心ができないということなのだろうか?
このときと同じ状態が、いまにいたるまで続いているわけだ。