何が「電子政府」だ? 日本政府のITはなぜこうもダメダメなのか

癌は官庁のトップと政治家だ
野口 悠紀雄 プロフィール

10万円給付にマイナンバー機能せず

4月17日、安倍晋三首相が「10万円」の特別定額給付金を発表し、「スピードを重視し、手続きは郵送やオンラインで行う」とした。

しかし、この時点で、全国1741市区町村の半数近い806市町村がマイナンバーの専用サイト「マイナポータル」に未接続だった。突貫工事で、679市区町村が5月1日のオンライン申請開始に間に合った。

しかし、オンライン申請は市区町村の住民基本台帳と連携していなかった。このため、自治体の職員は、台帳と照合する膨大な手作業を強いられた。誤記や二重申請もあったため、現場は大混乱に陥った。

結局、多くの自治体が「オンラインより郵送の方が早い」と呼びかけて、60近い市区町村がオンライン申請受付を停止した。

まったく、ジョークのようなことだ。

6月末の段階で、大阪市での給付率は3%程度でしかない。

私が不思議に思うのは、こうした実情にありながら、なぜ「スピードを重視してオンラインにする」と見栄を切ったのかである。

日本政府のトップは、マイナンバーの実情をまったく知らなかったとしか考えようがない。自分の実力を知らずに見栄を切るとは、ずいぶん乱暴なことをしたものだ。

 

政府はマイナンバーのシステム構築に約6400億円を投じてきた。しかし、カードの普及率は16.8%にとどまっている。

最大の要因は利用の機会が少なく、使い勝手が悪いことだ。カード取得が実質義務化されている国家公務員でさえ、取得率は58%にすぎない。