香港・国家安全法が「中国の没落」と「日本の復活」をもたらす可能性

一国二制度の終焉が意味すること
髙橋 洋一 プロフィール

日本は「漁夫の利」を狙える

いずれにしても、香港の将来は明るいとはいえない。香港の企業、金融機関や人々は、これから中国に従うか、それとも香港から脱出するかの二択を迫られることになるだろう。香港の人口750万人のうち、半数程度は香港に居づらくなるだろう。

香港は、モノとカネによって中国と世界をつなぐ重要なゲートウェイだったが、もはや今後、その役割を担うことはなくなるだろう。

それにしても、中国は香港について間違った選択をしている。あと10年くらい「一国二制度」を維持していれば、香港の能力をもっと活用できただろうに、そのチャンスを自ら失ってしまった。香港の自由が、中国の一党独裁という政治的な「不自由」に、よほど脅威だったのだろう。金の卵である香港を切り捨ててでも、一党独裁体制を守りたかったに違いない。

もっともこの状況は、日本にとっては「漁夫の利」になる可能性がある。国際金融センターとしての東京の復権のためには、大きな援軍となるのだ。折しも実施される東京都知事選で、ここを是非とも争点にしてもらいたいところだが、そうした機運がないのは極めて残念だ。

 

イギリスのロンドンもEU離脱により、国際金融センターとしての地位を低下させるだろう。イギリス経済をTPP(環太平洋パートナーシップ)に取り込み、さらに香港の国際金融センターとしての機能も企業とともに取り込んだら、日本の将来にとって大きな資源になるはずだ。

香港国家安全法案が可決されたら、日本は「遺憾」を表明するだろう。これは、17日の先進7か国(G7)の共同声明での「重大な懸念」より踏み込んだ表現だ。それと同時に、香港から脱出する人に対して受け入れを優遇し、国際金融センター機能の取り込みもしたらいいだろう。