香港・国家安全法が「中国の没落」と「日本の復活」をもたらす可能性

一国二制度の終焉が意味すること
髙橋 洋一 プロフィール

いずれにしても、先進各国は(1)の自由な資本移動を最優先で確保している。逆にいえば、自由な資本移動があって、自由な国際金融センターがないと、先進国の資格がないというわけだ。先進国クラブといわれるOECD(経済協力開発機構)の加盟条件として、資本の自由化が含まれているのはそのためだ。

中国経済は、そうした先進国タイプになれない。

中国は、一党独裁社会主義であるので、(1)の自由な資本移動が基本的に採用できない。例えば、土地などの生産手段は国有というのが社会主義の建前だ。中国の社会主義では、外資が中国国内に完全な民間会社を持てない。中国へ出資しても、中国政府の息のかかった中国企業との合弁までで、外資が会社の支配権を持つことはない。

要するに、中国では自由な資本移動がないために、本格的な国際金融センターを擁することも不可能なのだ。

Photo by gettyimages
 

なお、先進国はこれまでのところ、基本的に民主主義国家である。これは、自由な政治体制がなければ自由な経済体制も作れず、その結果としての成長もないからだ。このあたりの理論的な説明は、フリードマン『資本主義と自由』に詳しい。

この理論を進めると、今の中国の一党独裁体制では、経済的な自由の確保ができないので、いずれ行き詰まることが示唆される。

この議論は、近く中国が崩壊するという悲惨な予測や、中国も経済発展を遂げればいずれ民主化するという楽観論とも一線を画しており、そうした予測をするものではない。