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「自分の頭で考える」とは本当はどういうこと? メタ認知、バイアスがキーワード

『問題発見力を鍛える』vol.21
バイアスは様々な場面で問題を引き起こしますが、「バイアスを逆転させる」ことで様々な問題を発見し、それを解決することにつながります。細谷功氏の連載『問題発見力を鍛える』第21回の今回は、バイアスから抜け出すためのヒントとして「メタ認知」を取り上げます!
 

バイアスから抜け出すには?

前回は私たちの認知が生み出す問題の根本的原因としての認知バイアスによるギャップを挙げました。このバイアスが様々なギャップ、例えば主観と客観のギャップを生み出すためにコミュニケーションを始めとする様々な場面で問題が起こるのでした。

では、このようなバイアスを発見し、そこから抜け出してバイアスがない状態とのギャップ=心の歪みという形での問題を発見し、それを解決するにはどうすればよいのでしょうか?簡単に言えば、前回挙げたようなバイアスの逆方向に自分の心を振ってみればそのギャップがはっきりと見えてきます。

例えば、「他人のことは一般化するが自分のことは個別具体のことが良く見える」という具体と抽象に関するバイアスであれば、自分のことはあまり具体レベルで特殊なものだとは考えず、一般化したルールが適用できないかと考えてみることです。

「自分の置かれた状況は特殊である」(から、○○さんがうまくいったと言っているやり方はうまくいかないはずだ)と考えるのではなく、それでも何か抽象化したレベルでの共通点がないかと考えてみるのが個人レベルで考えてみることです。

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組織レベルでいけば、「この業界は特別だ」という「できない理由の常套句」がこれに相当します。

具体的に物事を見ている人は「すべてが違ったもの」に見えますが、抽象的に物事を見ている人は「何らかの共通点が必ずあるはずだ」という発想になります。自分がどちらの傾向が強いにせよ、重要なのはこの2つの見方にギャップが存在することを両者の視点を理解することで見つけることです。

具体の世界の人が視野が狭くなってしまうことの原因の一つは、知識や経験の範囲が狭いことです。日本に住んでしかいないのに「日本は特殊だから」と安易に判断してしまったり、一つの業界、さらには一社しか経験していないのに「うちの業界(会社)は特殊である」という発言をしてしまうことが多いのはここに原因があります。

多種多様な経験や知識を身につけてくると、物事を相対的にとらえられるようになります。つまり、様々な違いを見ることで、複数の事象の「ここは違うがここは同じだ」という視点が持てるようになるのです。

こう考えてくると、「自分のことを特殊だと思ってしまう」のがなぜかが見えてくるでしょう。何しろ「自分自身」は他に経験しようにも(疑似体験以外)経験のしようがないからです。物事が近くに見えて、他の経験をしていないという状況はその対象(自分自身)を相対的に見ることが構造的に極めて難しい状況なので、あえてそこは強く意識してバイアスを逆転させることが必要です。