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認知の歪み=バイアスに気がつけば問題発見力は高くなる

『問題発見力を鍛える』vol.20
細谷功氏の連載『問題発見力を鍛える』では、「問題解決」よりも「問題発見」が重要になっていく時代に必要なことについて考えてきました。第20回の今回は、私たちが持っている「バイアス」に着目して日常に潜む問題を発見します!
 

認知の歪みとしてのバイアス

前回前々回と「具体と抽象のギャップ」「自分と他人のギャップ」についてお話しました。要はこれらは「そもそも問題とはギャップであり歪みである」という、これまでの問題の定義に従えば、私たちの認知の歪みを認識することで問題を発見することができることを意味します。

このような認知の歪みは一般にバイアスと言われますが、よく知られ、かつ本連載にも関連するものとして、以下を代表例で挙げることができます。

・生存者バイアス

よくある成功体験談にあるパターンですが、「勝てば官軍」的な発想で、勝ち残った人がその勝因を都合の良いように解釈して、「自分はこうやって成功した。だからそうすれば皆うまくいく」という主張が典型的な生存者バイアスと言えます。

さらにこれに関連して、「自分だけが運が悪い」「自分だけが正当に評価されていない」といったような「自分だけが・・・」系の認識はたいていの場合はバイアスが生み出すものと考えてよいでしょう。

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・ダニング・クルーガー効果

「能力が低い人ほど自己評価が高い」というこのバイアスは、以前に本連載でも紹介した無知の知の必要性を想起させるものです。言い換えればこのバイアスは「無知であることを自覚していない」という「無知の無知」に人が陥る、「躊躇半端に知識がある人」が他人に上から目線で決めつけ発言をして反感を買うという、コミュニケーション上よくある問題はここからきている側面が大きいと言えるでしょう。

・確証バイアス

「金槌を持っている人にはすべてが釘に見える」という言葉がありますが、これに示されるように人は自分の都合の良いように物事を解釈するということで、「見たいものだけが見える」というバイアスです。いったん誰か悪者ができて「全てその人が悪い」という思い込みが入ると、その人が悪いという情報や因果関係の憶測だけが大きく見えてしまって全ての因果関係が「その人のせいである」といったようなことがこれに相当します。

この他、本連載でこれまでに述べてきたものでいけば、他人のことは一般論で語ってレッテルを貼りたがるが、自分のことは具体的にとらえて一般化されることを嫌うことや、専門家は必要以上に細かく分けたがるといったこともバイアスの例と言えます。