9月 1日 原子力船「むつ」放射線漏れ(1974年)

科学 今日はこんな日

地球のみなさん、こんにちは。毎度おなじみ、ブルーバックスのシンボルキャラクターです。今日も "サイエンス365days" のコーナーをお届けします。

"サイエンス365days" は、あの科学者が生まれた、あの現象が発見された、など科学に関する歴史的な出来事を紹介するコーナーです。

1974年のこの日、8月28日に初臨界に達し試験航行中だった日本初の原子力船「むつ」で放射線漏れの事故が発生しました。

 
1969年6月、皇太子(当時)夫妻、首相らの参加した進水式での「むつ」 Photo by Kodansha Photo Archives

その日「むつ」は、青森県尻屋岬東方800kmの試験海域で試験を行っていました。原子炉の出力を約1.4%まで上げたとき、高速中性子が遮蔽体の間隙を伝わって漏れ出る「ストリーミング」と呼ばれる現象が生じ、原子炉から放射線が漏れ出てしまったのです。

この事故により安全性を疑われた「むつ」は、母港であった青森県むつ市の大湊港への帰港が困難になり、受け入れ港をめぐって大きな社会問題が起こりました。

最終的には、長崎県の佐世保港において原子炉の改修工事が進められることになりますが、工事が始まったのは事故から4年後の1987年のことでした。改修の完了後は、むつ市に新たに設置された関根浜港を母港として、再び試験が進められ、1991年に正式な完成が発表されています。その後、実験航海として地球2周以上にあたる約8万2000kmを原子力によって航行しました。

しかし、放射線漏れ事故後の紆余曲折のなかで「むつ」の廃船はすでに決定されており、結果的に日本初の原子力船でありながら、日本最後の原子力船となってしまいました。

原子炉を撤去された「むつ」は現在「みらい」と名を改め、海洋調査船として第二の人生を航行中です。

むつPhoto by Kodansha Photo Archives