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韓国が激怒する「ボルトン回顧録」文在寅政権の反論が無理筋な理由

暴露された「米朝対話の裏の思惑」

「政治的野心」優先が裏目に

「相当な部分で事実を大きく歪曲している」。韓国大統領府が22日、鄭義溶(チョン・ウィヨン)大統領安保室長の名前で発表した声明だ。

怒りの標的は、ボルトン前米大統領補佐官(国家安全保障担当)が出版した回顧録だった。鄭室長は声明で「政府間の相互信頼に基づいて協議した内容を、一方的に公開することは外交の基本原則に反する」「こうした不適切な行為は、今後の韓米同盟関係で共同の戦略を維持・発展させ、両国の安保と利益を強化する努力を著しく損ないかねない」などと、回顧録をめった切りにした。

発売されたボルトン氏の回顧録(Photo by gettyimages)
 

文在寅政権は2017年5月に発足したが、当時は北朝鮮が弾道ミサイルを次々に発射して、米朝間の緊張が高まっていた時期だった。その緊張は、北朝鮮が17年11月に行った、米全本土を射程に収める大陸間弾道ミサイル(ICBM)「火星15」(射程1万2千キロ以上)の発射で最高潮に達した。

北朝鮮は翌18年、平昌冬季五輪を契機に「ほほえみ外交」に走り、同年6月と、19年2月の米朝首脳会談につながった。文政権は、自らが主張する朝鮮半島平和外交が実現したとして、米朝の対話を全面的にバックアップし、政治的な功名心にかられたトランプ米大統領もこれに同調した。

しかし、米韓の政治的な野心を優先した戦略は、北朝鮮に逆に利用されて非核化は頓挫し、その後の混乱と今の南北関係の悪化につながる結果を招いている。