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K-POPファンの「トランプ陣営へのイタズラ」から見えてくること

ソーシャルメディアはどこに向かうのか

幻となった「100万人」登録

2020年6月20日、トランプの再選キャンペーンチームは、若いオンラインユーザーから手痛いしっぺ返しを受けた。

その日、トランプ陣営は、コロナウイルスが猛威を奮い始めた3月以降中止していた「ラリー=選挙集会」をオクラホマ州タルサで再開した。もっとも、開催地であるオクラホマ州は、ここに来て新規の感染者数が増えている南部の「レッド・ステイト(=共和党優勢州)」の一つであり、そのため、ラリーの開催計画が公表された直後から、感染拡大を懸念しラリーの取りやめを求める声も高まっていた。そのような訴えに対して、トランプ陣営は、コロナウイルスについてはすでに脅威は去ったという見解を示し、ラリー参加への登録を促していた。

開催の直前、再選キャンペーンを統括するブラッド・パスカルは、100万人の登録があったと豪語していた。だが、蓋を開けてみれば集まったのは6500人ほどにすぎず、会場となった1万6千人収容のBOKセンターは、空席が目立つ閑散としたものとなった。まるで人気が落ち目になったプロスポーツチームの試合観戦のような雰囲気だ。当初の予定では、会場に入れなかった支持者たちに対して、BOKセンターの外でトランプ大統領とペンス副大統領の2人がそれぞれスピーチをする予定だったのだが、もちろん、それも取りやめられた。

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この狐につままれたような光景を演出したのが、若いオンラインユーザーたちだった。具体的には、K-POPスタン――「スタン」とは時にストーカー的にすら見える狂信的なファンのこと――とTikTokユーザーらが連携し、ラリー参加の登録をしながら当日はボイコットする、という盛大なイタズラを仕掛けてきた。その結果が、空席がやたらと目立つラリー会場だった。

もっとも、この不本意な事態に対してトランプ陣営は、会場が満たされたなかったのは、コロナウイルスへの感染を懸念したり、ジョージ・フロイド事件――5月25日にミネアポリスで生じた白人警官による無抵抗の黒人の殺害事件――をきっかけに全米で再燃しているBlack Lives Matter(BLM)ラリーとの衝突を心配したりした結果、登録者が会場に来るのを見合わせたためだと説明した。

だが、だとすれば、そもそもこの時期にラリーを再開すること自体、不適切であったことを意味している。つまり、K-POPスタンやTikTokユーザーたちによるイタズラによってまんまとはめられたことを認めようが認めまいが、ラリー再開を決めたトランプ陣営の判断に誤りがあったことになる。なんとも締まらないラリーの再開となった。