完全に室内で1頭だけ飼育している猫は?

猫の場合も、定期的に混合ワクチンを接種する必要があるが、こちらも場合によっては毎年打つ必要はない。
猫におけるコアワクチンは、猫汎白血球減少症ウイルス猫カリシウイルスおよび猫ヘルペスウイルスI型から猫を防御するワクチンの3種類だ。現在日本ではこの3種混合ワクチンを接種することが多い。

ガイドラインによると、愛猫が完全な室内飼育で、しかもペットはその1頭しか飼っておらず、ペットホテルにも預けない場合は、ガイドラインによると「低リスク」に分類され、ワクチン接種は3年以上の間隔で行うことが推奨されている。
しかし、何頭も猫を飼っていたり、定期的にペットホテルを利用したり、屋外と屋内を行き来する猫の場合は「高リスク」に分類されるため、年1回混合ワクチンを接種する必要がある

我が家の猫も、多頭飼育で、時々病院にも出入りしているため、「高リスク」と判断し、毎年ワクチン接種を行っている。

猫は単体なのか、完全に室内で飼っているのかでワクチン接種の必要頻度が変わってくる Photo by iStock

ちなみに毎年決まった時期にペットホテルに預ける場合は、預ける直前にワクチン接種を行うことが望ましい。

ワクチン接種時に心配なアレルギー

この混合ワクチンにはいろんな病気のワクチンが混ざっている。そのためアレルギー反応を起こす原因物質も、1種類のワクチンしか含まれていない狂犬病ワクチンより多くなってしまう。よってアレルギー反応を起こすリスクも狂犬病ワクチンよりも高い。

ワクチンを打つときに説明されるとは思うが、ワクチン接種後に呼吸が速くなる、舌を出してハァハァと息をしている、ぐったりしていて元気がない、普段より体が熱い、顔や目の周りがパンパンに腫れているなどの症状があった場合、ワクチンアレルギーの可能性もあるため、ワクチン接種した動物病院に問い合わせてみるのが良いだろう。
また、午後の診察時間内にワクチンを打ち、夜中に具合が悪くなった場合、すでにワクチンを打った動物病院が閉まってしまっている可能性もある。なるべくワクチン接種は午前中に行うのが良いだろう。

また、猫ではワクチン接種後に肉腫ができてしまうことがある。この肉腫は、手術によって病変部を切り取ってしまうしか治療法がない。
肉腫ができる割合はそう高いものではないが、愛猫が「低リスク」に分類される場合は、ワクチン接種の間隔をかかりつけの動物病院に相談してみても良いだろう。

-AD-

「適切なワクチン接種」とは

2010年のWASAVAのワクチネーションガイドライン改訂により、日本国内でもワクチン接種のスタンダードが少しずつ変わり始めている。

私も娘が生後数ヶ月の時に打った混合ワクチン接種後に熱を出し、とても心配になったことがある。必要なワクチン接種だから仕方がないことは理解していたものの、両腕、両足にワクチンを接種され、真っ赤な顔で熱を出す娘を見て、代わってあげたいと強く思った。

一度ワクチンアレルギーを体験したペットオーナーなら、なるべくワクチン接種をしたくない、と思う心理はよくわかる。そして今は、明確なガイドラインがあり、犬であればワクチンの抗体検査をすることも簡単になってきた。また、猫でもこの夏にワクチンの簡易抗体検査キットが発売される、という情報もある。

自分の状況を言葉で伝えられない犬・猫にとって、なにが最良かを判断できるのはオーナーであるあなただけだ。コロナ渦によって、「ワクチン」「抗体検査」などの言葉が少し身近になった今、愛犬や愛猫の飼育環境に合わせて、ワクチンの種類や接種間隔を見直してみてはいかがだろうか。

文献1 世界小動物獣医師会(WASAVA)が2020年に改訂したガイドライン
https://wsava.org/wp-content/uploads/2020/01/WSAVA-vaccination-guidelines-2015-Japanese.pdf