狂犬病ワクチン接種が
15%低下した県も

今月13日、フィリピン滞在中に犬に噛まれた男性が、狂犬病に感染し、死亡したというニュースをご存知だろうか。
狂犬病は日本では撲滅された病気である。しかし、一度感染し、そして発症してしまったら、致死率ほぼ100%の恐ろしい病気だ。
同時に、こんな心配なニュースもある。山形県内の狂犬病の予防接種率が、5月末時点で前の年と比べて15%も低いというものだ。

新型コロナウイルス感染防止のため、今年は狂犬病ワクチンの集合注射を中止した市町村が多いことが大きな理由だろう。これはあくまでも山形県のデータだが、今年は集合注射が全国各地で中止になったことを考えると、全国的に狂犬病の予防接種率が下がっていることは想像に難くない。
当院にも「狂犬病のワクチンは打ってもらえますか」という問い合わせが多い。中には毎年集合注射を受けており、動物病院には一度も来たことがないという犬もいた。

狂犬病に限らず、犬や猫を飼っていると、様々なワクチンを打つ必要がある。しかし大体の人は「飼い始めた時にペットショップや動物病院で言われたから」となんとなく毎年注射をしており、その意義などを正しく理解している人は少ないのではないだろうか。

新型コロナウイルス感染症によって「ワクチン」や「抗体」といった言葉が以前よりも少し身近になったいま、ペットの犬猫に必要なワクチンについても学んでいきたいと思う。

獣医師で作家の片川優子さんによる連載「ペットと生きるために大切なこと」。今回のテーマは「ワクチン」。今年はちょうどコロナの自粛要請が狂犬病ワクチンの接種時期と重なってしまった。しかしコロナウイルスのことで、ワクチン接種の重要性を世界中がかみしめているところではないだろうか。では犬や猫がワクチン接種をしないとどうなるのか。なぜ必要なのか。打ったか打ってないかわからない場合はどうしたらいいのか……具体的に伝えてもらおう。

今回のコラムの要点は3つある。

1.狂犬病は忘れずに毎年接種が必要

2.犬の混合ワクチンは抗体検査次第では必ずしも毎年打つ必要はない

3.猫の混合ワクチンは、一頭しか飼っておらず完全室内飼育の場合は3年に一度でよい場合も

では順番に説明していこう。

ワクチンの種類や打つ必要性、どうしてもわからなくなってしまうもの。それを整理していこう! Photo by iStock