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大炎上「もやウィン」その「3つの間違い」を進化学者が教えます

変化したらむしろ生き残れない

「もやウィン」の言葉

自民党広報のツイッターアカウントが、ダーウィンの進化論を誤用した言い回しを使って憲法改正の必要性を訴えた、と話題になっている。

6月19日に「もやウィン」というキャラクターが出てくる4コママンガの中で、もやウィンはこう述べている。

「ダーウィンの進化論ではこういわれておる」
「最も強いものが生き残るのではなく もっとも賢いものが生き延びるのでもない。」
「唯一生き残ることができるのは 変化できる者である。」

そして、この発言を、憲法改正の必要性に結びつけている。

さて、もやウィンの発言が間違っていると話題になっているけれど、どこが間違っているのだろうか。

私は、この発言は3つの点で間違っていると思う。

1つ目は、これはダーウィンの言葉ではないことだ。アメリカのルイジアナ州立大学の教授が1963年に、ダーウィンの著書である『種の起源』から引用したとして、自分の論文に誤った解釈を書いたのが始まりらしい。

とはいえ、「唯一生き残ることができるのは 変化できる者である。」という言葉は正しそうな気がする。確かにダーウィンの言葉として引用したのは間違いだったかもしれないが、内容は正しいのではないだろうか。それを、これから検討してみよう。

生き残るのは「変化しないもの」

ダーウィンが唱えたいくつかの進化のメカニズムの中で、もっとも有名なものは自然淘汰(自然選択とも言う)である。

この自然淘汰は、おもに2つに分けられる。生物を変化させないように働く安定化淘汰と、生物を変化させるように働く方向性淘汰だ。

まず、安定化淘汰から考えてみよう。たとえば中間的な体の大きさが有利なときは、体の大きな個体と小さな個体が除かれる。その結果、体の大きさが変化しないように維持される。これが安定化淘汰と言われるものだ。

【図】安定化淘汰とは
  安定化淘汰とは変化しないものが生き残る自然淘汰である

つまり、変化したものが除かれて、変化しないものが生き残る自然淘汰である。

自然淘汰の大部分は、この安定化淘汰だと考えられている。