2020.08.08

医学部受験、ここへきて「数学不要論」が急浮上してきた本当のワケ

医学部が直面する「深刻な問題」がある
原田 広幸 プロフィール

「医学部=数学=難しい」というイメージ

従来の医学部が、とりわけ数学を重視してきたもう一つの隠された理由は、数学が、「頭のいい奴」の中でも、とりわけ「頭のいい“男子”」の象徴になっているからなのかもしれない。

こういうと必ず、「偏見だ」、「数学が得意な女性も多い」、という反論が出てくる。しかし、ここで明らかにしたいのは、数学という学問について、一般的に男子の能力が高いのか、それとも女子の能力が高いのか、まったく同じ程度なのか、という問題に決着をつけることではない。

実際に、難関医学部と言われる大学への女子入学者は少ないのである。

一昨年前のデータで恐縮だが、医学部入学者の女子入学者割合を見ると、私立では、慶應義塾大学で19.4%、国公立でも、北海道大学が16.7%、千葉大学が17.1%、大阪大学が17.7%、京都大学が18.9%である。ついで、九州大学が20.5%、名古屋大が20.9%、東北大学が21.6%となっている(2018年度入試結果より著者が計算。東京大学は非公表)。

入学者数や入学者の割合ではなく、「合格率」でみても、男子の合格率と女子の合格率は、東京女子医科大学をのぞく全医学部(80大学)のうち、女子の合格率が高いのは21校のみである(2018年度、学校基本調査等)。

 

HUFFPOST japanによるアンケート調査によると、2019年度はさらに低下しており、アンケートに回答した74の大学の医学部のなかで、女子の合格率のほうが高いのは17校のみ、全体の23%にとどまっているとのことである。

医学部は、数学が難しいから女子受験生が少なく、女子の合格者も少ないのか、それとも、女子受験生は、何等かの理由で(単に医師キャリアは女性にとって不利だという認識等で)医学部受験を忌避しているのか、真の理由は明らかではない。

しかし、少なくとも、医学部=理系最難関=数学が難しい、というイメージは、受験生の間で広く受容されてきたイメージであることは確かだ。医学部が、数学を入試における最重要科目と位置づけ、それを継続させることは、無意識的にではあれ、男性中心の医師というギルドの「システム」を維持することに間接的に寄与している可能性は高い。

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