2020.08.08

医学部受験、ここへきて「数学不要論」が急浮上してきた本当のワケ

医学部が直面する「深刻な問題」がある
原田 広幸 プロフィール

数学はエリートの象徴?

もう一つの理由は、数学という科目が「頭がいい奴」の象徴になっていた(いる)からなのかもしれない。

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数学には基礎学力が大切であるが、それと同時に、応用力、瞬発力、計算力、発想力、論理・推理能力、空間把握能力等、様々な知的能力を必要とする。入試科目で、これほど頭をフル回転させる科目はない。覚えたことを思い出すだけでは足りないのだ。

とくに、抽象度や難度の高い数学の問題になると、短時間に解答を出すことができるのはごくわずか一部の秀才しかいないという世界に入ってくる。

実際に、日本の学校で頭がいい奴と名指しされるのはどういう生徒か、身の回りを振り返ってみよう。数学が出来る生徒ではなかったか。高校時代、同じクラスに世界史だけやたら詳しい男がいたし、英語だけ成績の良い男もいたが、秀才と見なされたのは「数学者」とか「博士」とかあだ名される、数学の優等生であった。

 

ここに、読書量や練習量そして人生経験値に比例して成績を伸ばすことができる国語・英語といった語学系の科目との違い、また、時間をかけてコツコツと覚え演習を続けることで点数を上げられる理科・社会科との違いがある。

医学部で数学の試験を重視するのは、知能=考える能力を重視するからであり、知識=教養を重視するからではない。医学部にとっての数学は、頭の良さをみる科目であり、教養や他の能力をみる試験ではないのだ。

教養は、センター試験や共通テストの勉強で身に着けるべきか、大学の一般教養で学べばよい程度のものとみなされているのだ。

最も頭脳明晰なエリートであることを認めるためには、難しい数学の試験を突破した証明が必要、というわけだ。医学部は、そういった最高のエリートが集まる場所と考えられているし、周りからもそう見られている。

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