お金を出さないと
面白いこと言わないんだ

以前、経営者だらけの会食で、容姿を散々いじられた挙句、「お金を払わないと面白いこと一つも言わないんだね」と言われたことがある。実際、私はその時、芸人らしい振る舞いを一切しなかった。この台詞を否定するつもりはない。

バラエティは距離が近いから、プロがいるという認識は一般的に浅いと思う。実際、そのプロ感を出さずにやるし、出たら「プロ」じゃない。リアルを感じるからこそ、面白いのだから。当然ながら「プロ」の中にも一線級と新人とがいるわけだけれど。

親近感を抱きやすいことでも、弊害はあると思う。テレビに出ている姿と一人の人間としての姿を同一視してしまう事だ。等身大を演出していたり、バラエティで売れやすいキャラ設定など事情は様々あるが、それがその人の「すべて」と評価されてしまう。

そしてたまに、テレビの中の人間のことを、これでもかと憎む人がいる。会ったこともないのに、心底嫌いだと。そういう人は、自分の中の問題を会ったこともない人に投影しているから、大嫌いになれるのではないかと思う。

例えば、「バービーって不細工なのに自信満々な態度がムカつく。私は隠れるように遠慮して生きているのに」といった類いのものだ。抑圧された感情を抱かずにはいられない存在に出会った時、人は憧れるか、大嫌いになるかのどちらかなのではないだろうか。

もちろん、それでいい。テレビってそんなものであってほしい。誰にとっても、もう一つの地域社会だ。ただ、その「リアル」の距離感を勘違いして、エンタメとの境界線を見失っている人もいるのではないだろうか

写真提供/バービー