初めて芸人の「いじり」を
体感したときのこと

信じられないかもしれないが、芸人を始めるまで、そこまで誰かにいじられることもなく普通の女子大生をやっていた。作家になりたかったのに、お笑い養成所の職員に勧められるがまま芸人コースに入ったのは大学4年生のとき。

お笑い養成所に通っていたときの学生証。写真提供/バービー

当時、養成所で一期上のいかにも関西芸人といったドレッドヘアの先輩に、すれ違いざま「おい! アンタッチャブルのザキヤマさんおるで!」といじられたのが、人生で初めてのいじりだった。何のことか、誰のことかすぐに理解できなかったほど、衝撃的な出来事だった。

余談中の余談だが、これが今の相方、ハジメとの出会いである。似ている自覚はあったし、言われたこともあったが、芸人然とした、第三者に見せつけるためのいじりは初めてで、内心ショックだった。

FaceAppで遊んでいると…これ誰?ザキヤマさん!? バービー!? 写真提供/バービー

芸人を目指している彼らと接するのは、衝撃の連続だった。常日頃、身体を張って笑いを探している彼らは、私には異常に見えたが、「これが芸人かぁ」と私の教科書にもなった。「芸人になること」が目的となった私は、一個人としての感情には蓋をして、彼らのセオリーを覚えようと必死だった

異世界の彼らはロックでクールで、1ヵ月のバイト代をたった1時間で擦る背中を見ては、これが芸人の正解なのだと言い聞かせた。そんな中でも、私はまだ一介の女子大生風情が抜けず、コント台本に書いてあるのに、スリッパで頭を叩かれツッコミを受けて泣いたこともあった。

テレビでお仕事をいただけるようになったのは、24歳のとき。スリッパツッコミで泣いていた一年後である。やっていけるわけがない。

養成所の同期、サンシャイン池崎と。写真提供/バービー