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北朝鮮の「女帝」金与正、じつはこれから「大粛清」されるかもしれない…!

「張成沢の二の舞」になる可能性も
橋爪 大三郎 プロフィール

じつはライバル関係だった「金日成」と「金正日」

皇帝にも天皇にも似てはいるが、要は独裁者である。

独裁は、効率的である。民主主義のややこしい意見調整や、法の縛りは関係ない。独裁は、不安定である。独裁者はなんでも決定するから、どんな失敗も自分の責任になる。部下のせいにして、粛清する。

そして独裁者は、うまく後継者に権力を引き継がないと、体制が崩壊してしまう。そして権力の継承のルールがない。これがアキレス腱だ。

独裁体制の安定のためには、後継者が決まっているとよい。でもそう簡単ではない。

儒教の皇帝や、天皇は、男系男子に継承するのがルールだ。安全のため、後継者の候補は、何人かいる。そのうち一人が選ばれる。皇帝にとっては、後継者(皇太子)は実は、危険な存在だ。

皇太子の身になってみよう。確実に権力を手にできるだろうか。ライバルは大勢いる。皇帝の気が変わって、廃嫡されるかもしれない。いますぐ皇帝が死んでくれると助かる。いや、いっそ皇帝を殺してしまおう。こんな皇太子の企みに、皇帝も気づく。殺されないうちに、皇太子を始末しよう。

中国の歴史は、皇帝が皇太子を殺したり、皇太子が皇帝を殺したりがしょっちゅうある。殺すか殺されるかのライバル。それが皇帝と皇太子だ。

世襲も簡単ではない photo/gettyimages
 

後継者に指名された林彪と毛沢東も、そういう関係だった。

金日成と金正日はどうか。金日成は、早い時期に金正日を後継者に指名し、二○年ほど並走した。実務は金正日が担当し、重要事項は金日成に決裁を仰いだ。金正日は疑われないように、細心の注意を払ったろう。金日成も万一に備え、軍事指揮権を手放さなかったはずだ。