「愛する素敵な妻がいるのに浮気するなんて信じられない」そういう話は、昨今のことではない。フリー編集者の安藤由美さんがアルバイト先で出会ったある男性は、職場の関係者である30人もの女性に、職場のオフィスなどで性行為や痴漢行為を繰り広げていた。彼の実例から、果たしてそういう男性にはなにか「癖」があるのかを探ってみたい。漫画家・津島隆太氏の漫画『セックス依存症になりました。』(集英社)の監修も勤めている『大船榎本クリニック』精神保健福祉部長で、精神保健福祉士・社会福祉士の斉藤章佳氏に、妻以外の女性と次々セックスする欲望が暴走する男性の「原因」を聞いてみると――。

バイト先で振り返ったら、
下半身を露出した上司が……

不特定多数の女性との性行為。これは『セックス依存症』なのか――。
私は、この『セックス依存症』という言葉で思い出す人物がいる。大学時代のバイト先の上司だったYだ。忘れもない大学4年の春のことだった

その日は、遅くまで残って頼まれた資料整理の仕事をしていた。気づくと、作業室は私だけだった。終電まで作業が終わるかな、と思っていたところに、「腹減っただろ、少し休めよ。終電逃したら今日はタクシーで帰ってもいいぞ」とコンビニ袋を下げたYが会議室に入ってきた。Yは私の作業チームの上司で、当時30代後半の社員だった。「他の部屋に何人か残っているから。オレも朝までいるから帰るときに声をかけてね」と言われ、サンドイッチとアイスコーヒーを置いて部屋を出て行った。

作業も終わりそろそろ帰ろうと身支度をしていた深夜1時頃、ノックする音とともに、「今ちょっと調査していることがあってさ、これ見てほしいんだよね」と言われた。

振り返ると、下半身を露出したYが目の前にいた

恐怖よりも先に呆気に取られてしまった。Yに対して仕事ができる人だとは思っていたが、恋愛感情もなければ、そんな雰囲気になったこともない。しかも、Yは私がよく知っている女性と結婚して2年あまりで、さらに彼女はモデル事務所からも引き合いがあるほどの美人。そして、当時私が同棲していた彼も半年前までYの下で長くバイトをしていた。そんな互いをよく知る人が、こんなことをするなんて?? 「えっ?どうしたんですか? 私ですよ? どうしちゃったんですか?!!!!」と必死に叫ぶしかなかった。でも、別の部屋からは物音がしない。どうもみんな帰宅したらしい……。

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