授乳服の開発・制作・販売を手掛ける「モーハウス」を立ち上げた光畑由佳さんは、社として「子連れ出勤」を早くから取り入れた第一人者。「子連れ出勤はしたことがない」人が多かったコロナ前とは異なり、「子どもがいる状況での仕事」を急遽せざるをえなかった人たちが世界中に溢れました。そこで光畑さんがニンプスラボと共同で2歳以下のお子さんがいる家庭に「子連れワークアンケート」を実施(5月20日~6月2日)。そこから浮き上がってきたことは、親たちの本音と、日本に根深く残っている大きな問題でした。

1997年創業から「子連れ出勤」OK

新型コロナウィルスの流行によって、私たちの生活は大きく変わりました。幼稚園や学校の休校、保育園登園の自粛。在宅ワークは一気に広がりました。遠出はできなくなり、家と近隣で過ごす日々。この大きな変化の中、小さい子を持つ働く母たちは、どんなことを感じてきたでしょうか。

まず、子連れ出勤に関して説明しておきましょう。子連れ出勤とは、その言葉の通り、仕事場に子どもを連れて行き、子どもの世話をしながら働くこと。もちろん今は企業内託児所などの施設も増えてきましたが、実は、筆者の会社では、1997年の創業当初から「子どもの世話をしながら働く」子連れ出勤を行っています。授乳服の会社ということもあり、多くは赤ちゃんの時期にこの制度を使っています。自宅で赤ちゃんを見るのと同じように、自分で抱っこしたり授乳したりしながら、仕事をするのです。

子連れ出勤なんて、子どもが騒いで仕事にならないのでは、と多くの方が想像されるのですが、少なくとも私たちの職場では困る場面というのは思いのほかありません。また、本人の性格や仕事の能力にもあまり関係ないように思えます。多くのスタッフがこうして働いてきた経験が生きているのかもしれません。

では、子連れ出勤は簡単か、といえば、そうでもありません。たとえば、やんちゃざかりの2歳児を初めて仕事場に連れて行って、午前中に原稿を一本仕上げろ、言われたら、さすがに厳しいでしょう。
子連れ出勤は、一見不可能そうに見えるけれど、実は可能です。しかし逆に、簡単なようにも見えるけれど、どんな状況でもできる、というわけでもないのです。 

コロナ禍、2人に1人の女性が
「子どもの世話をしながら仕事」

では、さっそくアンケートの結果を見ていきましょう。今回、364名の方がアンケートに答えて下さり、このうち在宅勤務をされた方は、131名でした。

その中で、保育園や親などにお子さんを預けず、自分で見ながら仕事をした、いわゆる「子連れワーク」をした方は、どのくらいいらっしゃったのでしょうか。妊娠中の方を除くとなんと55%! 在宅勤務された方の2人に1人のママが、お子さんを見ながら働くという経験をされたのですね。

「在宅勤務した女性が子どもをどうしていたか」 ニンプスラボ+光畑由佳「子連れワークアンケート」より


おそらく、その多くが、突然の事態に戸惑い、悪戦苦闘しつつ、過ごされたことと思います。その様子を聞いてみましょう。

まず、子どもの世話をしながら仕事をする際の困りごとを、聞いてみました。子連れ出勤というと、子どもが泣いたり走り回ったりして仕事にならない、という大変な状況を予想される方も多いことでしょう。ここから予想される困りごと「仕事に集中できない」という項目は、82.2%の方が選ばれました。8割ですから確かに多いのですが、実はこの回答は2位

では困りごとの1位は、と言うと、約9割の方が選んだ「子どもの相手が十分できない」でした。3位の「子どもがテレビやゲームの時間が増えて不安」(67.1%)と合わせて、子どもに対する申し訳なさや不安を痛いほど感じます。

親としての役割が果たせていないのではないかという不安、子にもっと良い環境を与えたいという思い。これらは、仕事と子育ての間で、普段も多くの母親が感じているジレンマでしょう。目の前にわが子がいることで、そのジレンマを普段以上に感じたであろうことは、想像ができます。

「子どもの世話をしながら仕事をする際の困りごと(複数回答可)」ニンプスラボ+光畑由佳「子連れワークアンケート」より