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# 新型コロナウイルス # 低金利

このままでは250万人失業…それでも「何もしない」財務省へのイラつき

増税より先にやるべきことがある

世界で相次ぐ低金利への批判

日本経済新聞が6月14日朝刊で、「金利の死」という表現を使っている。記事を読むと、世界主要62カ国の10年債利回りを調べたところ、30ヵ国で利回りが1%未満、20ヵ国で0%台であったという(6月12日時点)。

この数字は金融情報会社リフィニティブのデータをもとに導き出されたもので、世界的に低金利が続いている状況を「金利の死」であると表現した。たしかに、アメリカやカナダなどの金利は0%台で、新興国であるタイの金利も1%台と、低金利が世界的な現象になっている。

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これを「死」と表現していることから、日経新聞はこの低金利時代に批判的であることは明白だ。保険など金融商品の運用が不安定になり、銀行の機能維持もリスクにさらされると同紙は指摘しているが、実際にはどう捉えるべきなのか。

世界が低金利傾向にあるのは、金融政策により金融緩和が進められた結果である。戦前の大恐慌にも匹敵するような経済苦境に見舞われた現状を踏まえると、財政政策も金融政策も限界まで緩和するのが最善の選択と言える。

積極的な金融緩和で、コロナショックで蒸発した有効需要を埋めなければ、すぐに大量の失業者が発生してしまう。そして、失業者が増加すると、経済に困窮した自殺者が増加する。

この相関関係は、ある程度定量的に分析が可能で、仮にコロナショックでGDPの3~4割が失われ、有効需要創出の政策をまったく行わなかった場合、失業率は4%程度、失業者は250万人程度、そして自殺者は1万人程度増加すると試算できる。

とにかく、雇用の確保は人の命に関わることであり、各国のマクロ経済政策の一丁目一番地だ。金融緩和で「金利」が死んだとしても、「人」を死なせてはいけない。当たり前のことだ。実際、今回のコロナ対策で、のべ146の国と地域が利下げを断行している。

およそ90年前に起こった世界恐慌では、こうしたマクロ経済政策の常識が浸透しておらず、逆に米国が金融引き締めの悪手を取ってしまった。金融政策が火に油を注いだ世界恐慌に比べてみれば、今回の世界のコロナショックへの対応はまだマシなほうだと言える。

日経新聞の記事は、低金利が市場の調整機能を低下させるとともに、債務の増加にも影響する、と懸念している。

 

同じような意見を出しているのが、コロナ対策の諮問委員会のメンバーに任命された経済学者の小林慶一郎氏が所属する、東京財団政策研究所である。同研究所は「緊急共同論考―社会保障を危うくさせる消費税減税に反対」と銘打った声明を発表した。

消費税減税に反対という立場は、まさに財務省の意向をなぞったような主張である。経済規律が失われる、借金が大変という、いつもの財務省節を代弁する御用団体と化しているようだ。そして、日経新聞の今回の記事も、主旨は違うが、財務省の言い分をそのまま書いているとしか思えない。

なにかと増税が必要だという論に繋げたがるが、経済混乱時に必要なのは金融緩和による雇用創出である。日経新聞も、「金利」ではなく「人」の死を防ぐためにはどうしたらいいか、ということを報じたほうが良かったのではないだろうか。

『週刊現代』2020年6月27日号より

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