孫の右腕であり、唯一「NO」と言える男 photo/gettyimages

孫正義に「NO」と言える男…その知られざる「素顔」と「数奇すぎる半生」

日本で最も成功したサラリーマンだ

孫正義と二人で世界中を飛び回って…

〈ヤフーはすべて井上さんが作ったサービスなんです〉

そう評したのは、現・ヤフー社長の川邉健太郎だ。 

‘96年1月に誕生した「ヤフー・ジャパン」は、ソフトバンクの孫正義が米ヤフーと業務提携を結んで始めた日本法人だ。しかし、実際に孫はヤフーの事業にほとんどタッチしていない。事実上の創業社長であり、ヤフーを巨大IT企業に育てあげた人物こそ、井上雅博だった。その井上の知られざる半生を綴った『ならずもの 井上雅博伝――ヤフーを作った男』を、ノンフィクション作家・森功氏が上梓した(以下、〈 〉内はすべて同書からの引用)。

〈「ねぇこの会社、どう思う?」「いいと思います」〉

米ヤフーへのソフトバンクの投資は、孫と井上のそんな会話で即決された。当時、井上はソフトバンクの社長室長を務めており、将来性がある投資先を求め、孫と二人で世界中を飛び回っていた。そんな二人が目を付けたのが、米ヤフーだった。

孫(中央)と井上(右) photo/gettyimages
 

‘96年4月にヤフー・ジャパンのサイトを立ち上げ、井上は次々と新しいサービスをスタートさせた。「ヤフー・ニュース」「ヤフー・ショッピング」「ヤフー・オークション」。いずれも利用者は右肩上がりに増え、PV(ページビュー)数も爆発的に増加。2000年には一日1億PVという桁外れの数字になっていった。