ポイントは、“84%超の高密度な泡”

坂井氏は興奮気味に続ける。

「実験の結果、油の吸引は、粗い泡では生じず、しっかりと泡立てられたきめ細かい高密度泡特有の現象であることがわかりました。しかも、粗い泡では形状が球形だったのに対し、きめ細かい泡では気泡の形が多角形に変化していることも発見しました。泡には丸い形に戻ろうとする性質があります。これによって、多角形の泡では、丸い形に戻ろうとして液体(油)を吸い込む現象が起こるのです。クリーミーで高密度な泡には空気がたっぷりと含まれますが、気相率にして84%を境に多角形な気泡へと変化します。この数字が重要です」

きめ細かい泡では気相率にして84%を境に多角形な気泡へと変化する。
高密度な泡ほど洗浄率も高くなる。

高密度な泡ほど肌への作用も少ない

さらに、高密度な泡がもたらすメリットはもうひとつある。
「肌への刺激が低い洗浄成分(界面活性剤)はあります。ですがそれでも皮膚への接触はできるだけ減らしたいと考える方は多い。洗浄成分(界面活性剤)は泡と泡の間(水相)に保持されています。きめ細かく高密度な方が、たくさんある泡と泡の間に洗浄成分を保持して流れ出るのを抑えることができます。つまり、きめ細かい泡はその分、肌への作用が優しいということです。こうして泡の研究から、『優しく洗ってしっかり落とす』という機能を高い次元で両立するメカニズムを発見したのです。泡を変えるだけでこんなに変わるよという、とても新しい発想です」(坂井氏)

ちなみに、毎日の洗顔では、泡立てネットで、十分水や空気を含ませて泡立てると84%超の高密度な泡に近づくという。自分で作るのが難しいという人は、高密度のポンプ式タイプの洗顔剤をチョイスするのもいいだろう。

「洗顔料はしっかり泡立てて使う」という定説には、しっかりとした科学的根拠があったのだ。その事実を知ることで、きっと毎日の泡立て洗顔にも愛着が持てるはずだ。

監修:坂井隆也さん 花王 マテリアルサイエンス研究所 主席研究員。工学博士。入社以来、界面活性剤と泡を専門に研究。花王史上最高の洗浄基剤」と称して2019年1月に発表した「バイオIOS」の開発にも携わった。
本記事は花王の技術を紹介するWebサイト「花王の顔」より転載しました。
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