界面活性剤のバランスで様々に変わる泡

確かに、10年以上前は今ほど泡立ちのバリエーションはなかったように思う。洗顔料だけにフォーカスしてみても、泡立ちのよさ、きめ細かさ、弾力感など、好みで選ぶことが可能になっている。さらに、直接泡が出てくるポンプ式ボトルも登場し、泡立ちそのものにこだわった商品も増えてきている。

「また、泡のデザインに欠かせないのが界面活性剤です。分子構造を変えてみたり、混合する界面活性剤の種類やその配合比率、濃度を変えることで、さまざまな泡質を作ることができます。」(坂井氏)

なるほど。泡は、単に、泡立ちが良い・悪いではなく、使う人のニーズに合う機能を付加して進化し続けていた。洗剤や洗顔料は、製品の段階で、最適な泡が作れるように設計されていたのである。

泡は洗顔において重要な要素。肌への摩擦低減のほか、心地よさ、肌への安心感、洗浄実感、泡切れなどが使用場面にあわせて設計されている。 動画/花王

「優しく洗ってしっかり落とす」は実はとても難しい

こうして泡のデザインは多様化してきたが、一方で私たち消費者は、あくまでも汚れはしっかり落とし、かつ肌には優しいというものを洗顔料に求めて続けてきた。今までの界面活性剤の常識的な考え方でいえば、「洗浄力が強い=刺激が強い」、「肌にやさしい=洗浄力がイマイチ」というものだった。

「界面活性剤と一言でいっても肌への刺激が低いもの、洗浄力が強いものなど、種類はさまざまあり、刺激が低いものを選ぶことは可能です。ただ、実際問題として、汚れ落ちと肌への作用は、トレードオフの関係にあって、『優しく洗ってしっかり落とす』という機能の両立は研究者の永遠の課題なのです」(坂井氏)

この永遠の課題である、“洗浄性と肌へのやさしさ”。対極にあるジレンマを解消すべく、坂井さんたちの研究グループは、さらなる研究を進めていた。その突破口となったのが、やはり「泡」の存在だった。