6月26日 フランスのH・モアッサンがフッ素を単離(1886年)

科学 今日はこんな日

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"サイエンス365days" は、あの科学者が生まれた、あの現象が発見された、など科学に関する歴史的な出来事を紹介するコーナーです。

1886年の今日、フランスの化学者アンリ・モアッサン(Henri Moissan、1852-1907)がフッ素の単離に成功しました。

 

彼はこの功績により、20年後の1906年にノーベル化学賞を受賞しました。

フッ素の単離を試みるモアッサン Photo by Getty Images

今でこそ虫歯予防のために歯磨き粉に加えられるお手軽なイメージがありますが、実はフッ素は自然界に単体で存在しない物質。それゆえに多くの化学者がフッ素の単離に挑戦してきました。蛍石という鉱石に硫酸をかけてフッ化水素を得るところまでは簡単なのですが、ここからフッ素の単離につなげることが難しかったのです。

たとえば、ボルタ電池を利用して6種類の元素を単離してきたイギリスのハンフリー・デービーSir Humphry Davy、1778-1829)は1813年にフッ素の単離実験に挑みました。ところが、フッ素の高い酸化力によって実験器具が腐蝕されてしまい失敗に終わってしまいます。

単体のフッ素は強い酸化力と毒性を持つのみならず、電気陰性度が高くほとんどの元素と爆発的に反応するのです。そのため、たとえ単離できたとしても安全に保存できるかどうかが課題となりました。

フッ素の酸化力を克服するため、モアッサンは丈夫な実験器具を用意しました。電池の正極・負極には白金とイリジウムを、フッ素を集める容器には蛍石そのものを使ったのです。さらに彼はフッ化水素を直接電気分解するのではなく、フッ化カリウムにフッ化水素を溶かしてから電気分解することで反応を和らげました。

数々の工夫をこらしてモアッサンはようやくフッ素の単離に成功したのですが、実験の途中に片目を失明してしまうなど、危うい勝利となりました。

モアッサンの努力のおかげで、フッ素は身近な物質となっている Photo by Getty Images