コロナ禍で不安も増えた
受験生や家族に捧げる言葉たち

新型コロナウィルス感染拡大防止の影響で、学校が長期間休業し、塾にも通えなくなり、模試すら中止され自分の学力が今どの程度なのかが把握できない。そもそも入試本番がいつも通りに実施できるのかすらわからない。中学入試であれ、高校入試であれ、大学入試であれ、今年度の入試は前代未聞の先行き不透明な状況だ。

受験生たちはさまざまな選択を強いられる。しかしこの先行き不透明な状況では損得勘定など何の役にも立たない。風向きがどう変わったとしても、自分の進むべき道を見失わないために、しっかりとした信念をもつことこそが大切になる。受験生はもちろんそれを支える親にも、同様の信念が求められる。親が自分の不安で子どもを振り回すようなことがあってはならない。

以下は、6月30日に発売になった、教育ジャーナリスト・おおたとしまささんの新刊『中学受験生に伝えたい勉強よりも大切な100の言葉:「二月の勝者」*×おおたとしまさ』(小学館)の中から、先行き不透明な状況での受験に臨む受験生に、人生の先輩としての大人が伝えるべきメッセージおよび挿し絵を12箇所抜粋したものだ。

もともとは平時の中学受験生向けの言葉ではあるが、特に現在の新型コロナ禍において、高校受験生や大学受験生にとっても大切なメッセージとなるだろう。これをまず親こそが腑に落として、泰然自若とした態度で受験生を支えてほしい。

*『二月の勝者』は高瀬志帆さんが「週刊ビッグコミックスピリッツ」(小学館)に連載中の中学受験漫画。コミックは第8集まで刊行されており、累計65万部の大ヒットとなっている。柳楽優弥主演でドラマ化も決定。
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中学受験の目的は?

1.
中学受験が終わったとき、
仮に第一志望に合格できなくても
笑っていられるとしたら、
それってどういうときだろうね。

受験を笑顔で終える必要条件は「合格」ではない((c)高瀬志帆/小学館「週刊ビッグコミックスピリッツ」連載中)

「中学受験の目的は?」とストレートに聞かれるとつい「○○中学合格」などとわかりやすい答えを言いたくなってしまいますが、「仮に第一志望に合格できなくても笑っていられるとしたら……」と問われると、「自分たちは何をもって中学受験の成果や喜びとするのか」を自ずと考えることになります。まさに答えが一つではない問いです。

中学受験をする意味は十人十色、誰かに決められることではなく、中学受験生の数だけあり、各々そのために努力をすればいいのです。誰もがうらやむような超有名校に合格したわけでもないし、第一志望に合格したわけでもないのに、中学受験を終えてすがすがしい顔で「中学受験をして良かった!」という親子がたくさんいます。中学受験という経験を通して、他人との勝ち負けや世間の評判とは違う次元にある喜びに気づけたひとたちです。

2
どんな学校に行ったって
あなたならやっていける。

偏差値60以下の学校に行くなんてクズだという父親に母親が涙で訴える名場面((c)高瀬志帆/小学館「週刊ビッグコミックスピリッツ」連載中)

望みの学校に合格させることよりも、どこに行っても通用するひとに育てることのほうが、親の役割としての優先順位は高いはずです。一方で、望みの学校に入学できてその学校に強い愛着をもてたとしても、自分のアイデンティティを過剰に学校に依存するのは危険です。どんな立場にあっても「自分は自分」と言えるひとに育ってもらいたいですからね。

3
大きな選択のときこそ
直感って大事だよ。

カリスマ塾講師・黒木蔵人にはつらい過去があるようだ((c)高瀬志帆/小学館「週刊ビッグコミックスピリッツ」連載中)

いくら論理的に思考したところで、その前提となる情報が間違っていたり、不足していたら、結論が正しいとは言い切れません。学校選びのように不確定要素が多い大きな選択をするときほど、前提となる情報をそろえることは困難です。そのときに見えている情報だけで論理的思考をし、その結果を鵜吞みにすると、人間は理路整然と間違えることができるのです。

そこで感性の出番です。数字や文字に置き換えられる情報だけを扱う論理に対して、感性は数字や文字では表せないものを感知して反応する力です。論理的に考えると正しそうなことでも、感性が違う答えを指し示しているときには一度立ち止まる必要があります。論理では見落としている情報を感性が感じとっている可能性が高いからです。勉強すればするほど感性の大切さがわかってくるものです。