写真/岡田康且

「芸人一本の時代は終わった」会社員になったハチミツ二郎が見る未来

アフターコロナの光明になるかもしれない

コロナ禍と同時にIT企業に就職、芸人との「二足のわらじ」を履くようになった東京ダイナマイト・ハチミツ二郎。芸人たちのYouTubeへの進出、副業や転身が話題となる中で、「サラリーマン」という異色の選択肢をとった理由は何だったのか。ノンフィクション作家・田崎健太が短期集中連載でその思いに迫る。(文中敬称略)

芸人が「常識はずれな人々」だった時代

本来、社会の “はぐれもの” であった芸人が「丸い中」に入るようになったのは、芸人がワイドショーのコメンテーターになってからだとハチミツ二郎は考えている。

「世間(の常識)から見て、外れたこと、間違ったことを言うのが芸人でした。不倫のニュースがあったら、(故・立川)談志師匠や、(故・)月亭可朝師匠だったら、“だから私は一夫多妻制にすべきだと言っているんです” とか言うはず。それが芸人というものだと思っていたのに、そうでなくなった。普段は強がっているのに、炎上を気にしているのか、“奥さんを悲しませちゃダメ” とか、今はまともなことばかり言う」

落語家の月亭可朝は七一年の衆議院選挙に立候補している。そのときの公約は〈一夫多妻制の確立と、風呂屋の男湯と女湯の仕切を外すこと〉だった。もちろん落選だ。

写真/岡田康且
 

芸人がワイドショーなどで重宝されるようになった背景には、社会的要請があったと指摘したのは、社会学者の太田省一だ。

〈芸人がもつコミュニケーション能力の高さもさることながら、誰に対してもあらゆる局面においてコミュニケーション能力の高さを過剰に求める社会的要請のほうに原因があると私は見ている〉『芸人最強社会ニッポン』

芸風が破滅的であろうと、いい芸人は観客の心を掴むことが出来る。観客と瞬時に結びつき、時にその意を汲んだ言葉を発し、あるいは裏切り、笑わせる。その能力は、空気を読む力と表裏一体でもある。