ハチミツ二郎「死を意識したことが、サラリーマン二郎のきっかけだった」

芸人から「狂気」が失われた時代を生きる
田崎 健太 プロフィール

体内酸素数とは、血中酸素飽和度――血液中の酸素の濃度のことだ。肺や心臓に問題があり、体内に酸素を取り込む力が落ちると数値が下がる。正常値は九六から九九パーセントとされている。九〇パーセント以下の場合は、十分な酸素を全身の臓器に送ることのできない状態――呼吸不全であると診断される。

高熱が原因で肺炎を発症し、心臓に負担が掛かっていた。急性心不全である。

「六〇いくつって、水の中で溺れているようなもんで、自分で息ができない。(医師が)死ぬから(家族を)呼べって言っているのが聞こえた。“ちょっと今晩持たないかもしれない。今、家族を呼んでます” って。ああ死ぬんだ、と天井を見ていたんです。そのとき、頭に娘の顔と(ダウンタウンの)松本(人志)さんの顔が浮かんで来た。太陽と月じゃないんですけれど」

 

後に、笑福亭鶴瓶のラジオ番組に出演した際、なぜ脳裏に浮かんだのが師匠のビートたけしではなく、松本人志だったのだと笑われた。

「そういうときって、勝手に出て来るものじゃないですか。たけしさんではなく松本さん、嫁ではなくて娘の顔でした」