ハチミツ二郎「死を意識したことが、サラリーマン二郎のきっかけだった」

芸人から「狂気」が失われた時代を生きる
田崎 健太 プロフィール

のたれ死ぬくらいでいい、と思っていた

その生き様はビートたけしと通じる。

ビートたけしは『FRIDAY』編集部乱入事件の後、筑紫哲也との対談で、師である深見千三郎からの教えをこう語っている。

〈毎日煮込み屋でチュウハイ飲んで、いいかテレビなんかいくんじゃねえ、芸人は芸人らしくのたれ死にしていくもんだ。それはそうだろうと。世の中のためになることは何もしないで、くだらないことばかりしていて、やくざと変わりないんだぞ。それが幸せな生活なんかどうして求められるんだ。ばかたれがといわれるとね、それはそうだと思っちゃう。(中略)それが体の奥まで入っちゃってるんですよ。だから未だにそれが抜けないの。覚醒剤中毒みたいなもので、いい車乗ったり、いいところで飯食っていると、いいのかなと思うんだよね。これはまずいよと。だからきたないところへ行くとほっとするんだよね〉(『たけし事件 怒りと響き』) 

ビートたけしには多数の “著作” がある。その殆どは構成者の手が入ったもので、彼の芸人らしいサービス精神により面白みが加えられている。事件直後の取材ということ、ジャーナリストである筑紫に対してはある程度、率直な言葉を出しているのではないかと考え、この本を採用する。

ともかく、ビートたけしとハチミツ二郎の共通点はこの芸人らしさ――破滅願望である。

 

二郎はこううそぶく。

「(芸人の最期は)何かしら源氏名は知っているけれど、本名も知らないような女の家の布団で死んでいた、ぐらいがいい」

そしてこう付け加えた。

「ぼくが、独身だったらね」