コロナ禍で再び脚光を浴びるSF小説家・小松左京の「生原稿」の行方

古書探偵サイコ
松本 彩子 プロフィール

行方知らずの「生原稿」

渡邉さんのお返事を見たとたん、私の好奇心がむくむくと生じてまいりました。

まず手始めに、小松左京の全体像を探ってみたいと思ったのでございます。これまでならば図書館などにむかうところですが、今はデジタルアーカイブという、博物館、美術館、図書館などの収蔵品をデジタル化・記録保存してネットで検索できるような便利なシロモノがあります。

さっそく、小松左京のデジタルアーカイブを覗かせていただきました。きっと何か面白い発見があるに違いありませんことよ!

すると予想どおり! おもしろいことに気づきました。

小松左京先生の「生原稿」についての記載があまりなかったのです。

photo by iStock

むむむ、なにか事件の臭いを感じます。

さっそく調べてみましょう。

生原稿にたどり着く糸口は何だろうか? と考えているうちに、はたと思い出しました。

今年に入り神保町のとあるバーで偶然知り合った(なにかの運命かしら?)小松左京先生の元秘書だったという乙部順子さんです。

さっそく問い合わせてみましょう。

その乙部さん、現在、『小松左京全集』ハードカバー版全50巻(2019)をめぐる資料の整理の真っ最中だと言うのです。そしてやはり! 初期の代表作『復活の日』の生原稿は全く見当たらないと言うではありませんか。

さあ、私の出番です。小松左京先生の生原稿はどこへ消えたのでしょうか?

新聞、雑誌に掲載された画稿(元版)は、束で出てきたり、あるいは、たった1枚だけで発見される事もあります。ハッキリ言って、当時の記者や編集者の「見識」の違いがクッキリと浮かび上がります。作家先生の大事な原稿を長年にわたってしっかり保管される編集者もいれば、紛失してしまって大目玉を食らう編集者も……もう、考古学の域ですわね。

さて、乙部さんに原稿について、さらに詳しく伺いました。『日本沈没』の場合は担当編集者が写真資料の整理時に直筆原稿1225枚中、現存している1196枚を発見、残る29枚が行方不明ということです。『復活の日』に関しては1枚も見つかっていないそうです。

これは大事件です!

書痴にとっては、作家がどんな原稿用紙や筆を使っていたかはとてもとても大事なことです。実際に手を使って書いたもの(肉筆)が超絶的に重要なのです。「紙質」「ペン」の種類でも大事な資料になり得ますから。ですから、マニアにとって草稿は最高に貴重なものなのです。

さぁ、「草稿」はどこに消えてしまったのでしょうか?

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