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コロナ禍で再び脚光を浴びるSF小説家・小松左京の「生原稿」の行方

古書探偵サイコ
古書をめぐる「謎」を、きっての「古書マニア」である「古書探偵サイコ」が解き明かす本連載。第2回の今回は、著書『復活の日』において今般のコロナ騒動を「予言」していたとして、その先見の明が改めて注目されているSF作家・小松左京の「生原稿」にまつわる謎を調査します!

第1回はこちら

1964→2020

2020年、現実が想像をはるかに超えて、私たちは、かつてない経験をしております。

しかし、インターネットという空間を借りて、急速に各国の人々が手を繋いでいる姿も見ることができます。

「古書どころではない」とのお声も聞こえてきますが、わたくし古本探偵サイコとしては、古書業界の話をするしかありません。

SNSという不思議な「噂」空間で、SF作家である小松左京(1931―2011)の傑作、『復活の日』(1964)の話題がどんどん拡散されております。

それは、今、世界中が直面しているコロナウィルスの危機を、ズバズバズバリと、かなり細部にいたるまで予言していると思えるような物語だからです。

復活の日が出版されたのは、前回の東京オリンピックが開催された1964年

実は、その「噂」が広がる以前に、工学者の渡邉英徳氏が今年1月からTwitterで突如として『復活の日』からの部分を引用し、投稿をはじめたのを思い出しました。

工学者の渡邉氏には、実は「デジタル歴史探偵」とでも言うべき、もう一つのお仕事があります。最先端のテクノロジーを駆使して、原爆投下直後の広島や、昔の古いモノクロ写真・映像を美しいカラー・ビジュアルにして蘇えらせるのです。(アナログな私にとっては神の降臨!)

工学者・デジタル探偵と小松左京? ん? もしかしてSFお好きなのかしら? 私も探偵としての直感が働きました……。

なにせ私、氏のライフワーク「記憶の解凍」を、Twitterで日々拝見しておりますから、小松左京の言葉が刻々と、ダイレクトニュース? と思うほど染み入ります。

かつての言葉に時代が追いつき、並んで走り出しているのです。

わたしは、渡邉さんに宛てて短い手紙を書きました。

ひょっとして小松左京がお好きですか?

すると氏から次のようなお返事が――。

〈小松左京ファンクラブのメーリングリストも購読してるくらいのファンです。コロナウイルスと『復活の日』の重なり合い、トランプとシルヴァーランド&『アメリカの壁』(1977)。僕の仕事でいえば、古写真のカラー化プロジェクト「記憶の解凍」は『御先祖様万歳』(1963)『地には平和を』(1863)に影響を受けていますし「ヒロシマアーカイブ」「震災犠牲者の行動記録」などは『日本沈没』に登場する「立体ディスプレイ」をイメージしています。御存命だったら、いまの状況について、どんなお話をしていただけただろうか? って思います〉

古書に集う人々同様、古写真に魅せられている人は、ジャンルは違えど、すべての人が古い物を愛する史学探偵だと思います。

ネット社会に取り残され、いずれは捨て去られる運命にある「歴史」を拾い集めては、「歴史」を必要とされる人に差し出すというお仕事なのです。