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発達障害の子の「能力を伸ばす親」たちがやっている「魔法の言葉かけ」

毎日の「言葉かけ」で大切なこととは

「うちの子、発達障害なんだ。この先どうなるんだろう……」

発達障害に対する社会の理解が進んできたとはいえ、いざ自分の子どもが発達障害と診断されたら、ほとんどの人は不安でいっぱいになってしまうでしょう。

いまでは療育アドバイザーをされているshizuさんもその一人でした。「たくさん話しかけてあげましょう」とアドバイスを受けても、反応がほとんどない息子さんにどう接していいか、途方に暮れたといいます。

その後、ABA(応用行動分析)という療育法にたどり着いたshizuさんは、その理論をもとに、日常生活の中で息子さんの能力を「ながら的」に楽しく伸ばす方法はないかと考え、生活のあらゆる機会を利用し、ABAを使った働きかけを実践していきました。

その中で効果があった言葉かけを、同じ悩みをもつお母さんたちに紹介すると予想外の反響があり、ついにはそれを小児科医の平岩幹男氏による監修のもと、『発達障害の子どもを伸ばす魔法の言葉かけ』という本にまとめたのです。

イラスト/得能史子

:平岩医師からのコメント・ABAとは:

ABA(Applied Behavior Analysis:応用行動分析)は、BF Skinnerの行動理論に基づいて、1970年代から米国で展開され始めました。

当初は不連続試行(Discrete trial training: DTT)から始められましたが、その後、Verbal Behavior(行動言語)、Natural Environment therapy(自然環境指導)、早期Denver介入などさまざまな方法が用いられるようになってきました。

基本的には望ましい行動を増やし、望ましくない行動を減らす、消去することを行動理論に基づいて行います。実際の療育ではABAと言っても、やり方や質はさまざまだと思います。

 

子どもが失敗したときこそ「言葉かけ」のチャンス!

子どもを伸ばす言葉かけというと、何か特別な準備が必要なのでは、と構えてしまう人もいるでしょう。

でも、朝起きてから寝るまでのあいだの日常生活の中に、言葉かけのチャンスはたくさん転がっているのです。

たとえば、食事中に子どもがお茶をこぼしたとき、「あー、またこぼしたの。よそ見してるからでしょ!」などと小言を言いながら親が後始末をした場合、言葉かけの機会はゼロ。

では、次の対応はどうでしょう。

まず、親が「あら?」と笑顔で言いながら、こぼれたところを指さし、注目させます。次に「こぼれちゃった、どうしたらいい?」と声をかけ、少しのあいだ子どもが考える時間をつくります。

そして「ふけばいいよね。ふきん取って?」と言い、子どもにふきんを持ってこさせます。子どもがふきんを持ってきたら「ありがとう、ふいて」と、テーブルをふくジェスチャーをしながら言葉をかけます。

子どもがテーブルをふき終わったら「きれいになったね、ありがとう」とほめ言葉でしめくくります。

大事なのは「この状況で子どもの言葉を引き出すにはどうすればいいか」「次に何をすべきかを子どもに考えさせるには、どんな言葉かけが必要か」といったことを常に意識すること。

その上で「失敗したときこそチャンス」と前向きにとらえれば、子どもの失敗を怒ったりイライラしたりすることが少なくなります。