中国には、月収3.3万円以下「困窮」人口が9.6億人存在する…

李克強「全人代」爆弾発言を深読みする
北村 豊 プロフィール

「この6億人はどこにいる」

さて、6月3日付の「財新網(ネット)」は『月収が1000元に及ばない、この6億人はどこにいる』と題する北京師範大学「中国収入分配研究院」教授の万海遠と孟凡強が執筆した文章を報じた。

当該文章は李克強が5月28日の記者会見で述べた「中国には月収1000元の人が6億人いる」という発言は国内の実情を如実に示していると言明している。文章の要点を取りまとめると次の通りだ。

(1)2019年に北京師範大学中国収入分配研究院の課題研究チームが統計学の「層化抽出法」に基づき中国国内の7万人を対象とするサンプル調査を行った。その結果として判明したのは、中国人口の39.1%に相当する5.47億人は月収1000元未満であり、月収1000元(約1万5150円)~1090元(約1万6510円)の人口は5250万人であったので、月収1090元以下の人口は6億人になり、総人口(14億人)に占める比率は42.86%になる。これは李克強が述べた月収1000元が6億人とは90元の差があるが、大きな違いではない。

(2)この6億人を分析すると、収入ゼロ:546万人、月収500元以下:2.2億人、月収800元未満:4.2億人、月収1000元未満:5.5億人、月収1090元以下:6億人となる。もしも、月収1090~2000元の人々を「中低収入者(中低所得者)」と規定すれば、彼らの人口は3.64億人に達するはずである。これらを総合すれば、月収が2000元(約3万300円)以下の人口は9.64億人に及ぶことになるが、これは総人口の68.9%を占める。言葉を換えれば、月収2000元以上の人口は4.36億人であり、総人口の31.1%を占めているに過ぎない。ちなみに、月収3000元(約4万5450円)以下の人口は総人口の84%(約11.8億人)を占め、月収5000元(約7万5750円)以下の人口は総人口の95%(約13.3億人)を占めている。

(3)月収1090元以下の6億人のうちの75.6%(約4.5億人)は農村住民であり、大部分の低所得者が依然として農村地区に分布していることを示しているが、この都市と農村の区分は中国特有の一大問題である。また、6億人の分布は中国の中部と西部の比重が高く、中部は36.2%、西部は34.8を占めており、これら中・西部は低所得者の根源と言える。

(4)6億人中に占める未婚成人の比率は19.8%であり、彼らの平均年齢は38.5歳である。教育を受けた期間で見ると、月収1090元以下の人が教育を受けた平均年数は9.05年で、義務教育を終えてはいない。全体的に彼らが受けた教育水準は非常に低く、小学校およびそれ以下の比率が43.7%に達しており、「文盲(非識字者)」の比率は9.6%に達している。

 

(5)米国と中国の対比を見ると、国内総生産(GDP)の人口1人当たり平均は、米国が6万ドルであるのに対して、中国は2019年にようやく1万ドルに達したばかりで、米国の6分の1に過ぎない。また、2019年の人口1人当たり平均の可処分所得を見ると、米国が人民元換算で31万4427元(約476万3600円)であるのに対して、中国は3万733元(約46万5600円)で、米国の10分の1に過ぎない。こうした事実を勘案すれば、中国は世界第2の経済大国とは言うものの、その実は依然として中所得国の水準に留まっている。