中国には、月収3.3万円以下「困窮」人口が9.6億人存在する…

李克強「全人代」爆弾発言を深読みする
北村 豊 プロフィール

「2020年には貧困撲滅」

2015年10月16日に北京市で開催された2015年の「減貧与発展論壇(貧困削減と発展フォーラム)」に出席した中国国家主席の習近平は講演を行って、「今後5年間で中国の貧困ライン以下の7000万人以上の人口を全て貧困から脱出させる、誰1人も落ちこぼれることは許されない」と述べ、「2020年以内に貧困脱出闘争に勝利して貧困人口をゼロにする」と宣言したのだった。

それから10日後の10月26日に4日間の予定で開催された中国共産党第18回中央委員会第5回全体会議は、2016年から始まる第13次5か年計画(2016~2020年)の概要を決定したが、そこには中国共産党が2020年までに実現すると公約してきた「小康社会(ややゆとりのある社会)の全面的完成」の前提として「農村貧困人口の貧困脱出を実現する」ことが含まれていた。

2019年9月16日付で国営通信社「新華社」が配信した『70年、中国7億人以上が貧困を脱出』と題する記事は、「中国は人類史上で規模最大で、最速の貧困反対闘争を行い、1949年10月の新中国成立以来70年間で7億人以上の農村貧困人口を貧困から脱出させることに成功した」と中国共産党の功績を自画自賛して、次のように報じた。

すなわち、「2012年11月に開催された中国共産党第18回全国代表大会以降、共産党中央は貧困救済と貧困脱出に注力し、全国各地で貧困脱出の闘争を展開してきた。貧困脱出に成功した人口は、2013年:1650万人、2014年:1232万人、2015年:1442万人、2016年:1240万人、2017年:1289万人、2018年:1386万人と推移し、過去6年間で8239万人に及んだが、これは平均して毎分30人が貧困という帽子を脱ぎ捨てたのに相当する。」

一方、2020年1月23日付で中国政府「国家統計局」が発表したデータによれば、2019年末時点における農村貧困人口は551万人で、前年末に比べて1109万人減少したという。

 

上述した記者会見で李克強が述べた「500万人以上の貧困人口」とはこの551万人を指し、「今年中に任務を完成させる貧困脱出闘争」とは習近平が宣言した2020年末を目標とする貧困撲滅の闘争を意味する。