WHOが「中国寄り」と言われたワケ…世界を翻弄した「迷走」の数々

現役外務官僚が語った
時任 兼作 プロフィール

「レムデシビル」臨床試験の資料が流出

WHOは中国に「配慮」している――そうした見方を裏付けるような「珍事」もありました。

新型コロナウイルスの治療薬として期待されていた抗ウイルス薬「レムデシビル」について、中国で行われていた臨床試験の報告書が、草稿の段階でWHOのウェブサイトに誤って掲載されたのです。

この草稿によると、患者237人のうち158人にレムデシビルを、79人にプラシーボ(偽薬)を投与したところ、死亡率はレムデシビルが13.9%、プラシーボが12.8%と、大きな違いはみられなかったといいます。

WHOはその後、草稿を削除しましたが、「レムデシビル」を開発した米製薬会社ギリアド・サイエンシズは、「掲載された文書は研究を誤解させる」と厳重に抗議しています。

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検査や予防策に関するWHOの見解も、二転三転しました。

感染の拡大防止に有効な手立てのひとつとされる抗体検査について、WHOは4月25日、「抗体を持つ人が二度目の感染をしない証拠はない」と発表し、各国がロックダウンや行動制限緩和の目安として抗体検査の結果を利用しようとする動きに、警告を発しました。

さらには、抗体検査の結果、抗体が確認された人に「免疫証明書」を発行し、自由に外出できるようにしようという案についても、むしろ感染を広げかねないとして反対しています。