WHOが「中国寄り」と言われたワケ…世界を翻弄した「迷走」の数々

現役外務官僚が語った
時任 兼作 プロフィール

遅れに遅れたパンデミック宣言

この発言が、さらに批判を呼びました。WHOは、中国への配慮から緊急事態宣言を遅らせたのではないか――そんな声が専門家からさえも上がったのです。

2月12日の記者会見では、こうした疑念を代弁するかのように記者が「WHOは中国政府から、中国を褒めるように依頼されているのか」と質問しました。しかし、テドロス事務局長は「中国のしたことを認めて何が悪い」「中国は感染拡大を遅らせるために、多くの良いことをしている」と、開き直りました。

 

パンデミック宣言についても、同じような経過をたどりました。2月24日、イタリア、イラン、韓国で感染が急激に増加し始めたことを受けて、テドロス事務局長は記者会見で「深く懸念している」とは述べたものの、「現時点で感染拡大は局地的だ。パンデミックとは呼ばない」としたのです。

しかし、2月28日には世界的な危険性の評価レベルを「高い」から最高レベルの「非常に高い」に引き上げました。こうした状況を踏まえ、専門家は「パンデミックと呼ぶべきだ」と指摘しましたが、テドロス事務局長は拒み続け、2週間後の3月11日になってようやくパンデミック宣言を出しました。

しかも、宣言の「前置き」も不自然でした。テドロス事務局長は「この2週間で、中国国外の新型コロナウイルスによる肺炎の患者数は13倍に、ウイルス上陸国は3倍になっている」「現在、114か国に11万8000人以上の患者が出ており、4291人が亡くなった」と、感染拡大の報告からなぜか中国の数値を外したのです。