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WHOが「中国寄り」と言われたワケ…世界を翻弄した「迷走」の数々

現役外務官僚が語った

世界の保健衛生政策をリードするはずのWHO(世界保健機関)が、新型コロナウイルスに関する迷走ぶりを各国から批判されている。

今回、業務遂行上の事情から実名は伏せざるを得ないが、諸外国の情勢や国際機関の動向などに通じる外務省の情報担当者が、その問題点を語った――。

「中国の対応は素晴らしい」「中国に感謝」

まずひどかったのは、緊急事態宣言を発出するまでの迷走ぶりです。

中国・武漢市がロックダウン(都市封鎖)された1月23日、WHOは22日に引き続いて緊急会合を開き、緊急事態宣言を出すかどうか検討したものの、時期尚早として見送りました。

テドロス・アダノム事務局長は、会合後の会見で「緊急事態に当たるかどうかで意見が割れた」と弁解しましたが、26日には、新型コロナウイルスについての世界的な危険性の評価レベルを、「表記に誤りがあった」という理由で「並」から「高い」に訂正したのです。

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このときようやく、世界的な脅威が高まっていることを認めたわけですが、結局、緊急事態宣言が出されたのはさらに4日後の1月30日になってからでした。

しかも、発出当日の会見では、異常なまでに発生源とされる中国に配慮しました。テドロス事務局長は、「中国の対応はかつてなく素晴らしい」「中国国外の感染者数が少ないことについて、中国に感謝しなければならない」などと述べたのです。