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青い惑星から海水をすべて取り去ったら、どんな絶景が待っているのか

スケールの大きさが魅力の深海紀行

巨大地形とプレートテクトニクス

地球は「青い惑星」とよく言われる。青いのは海があるからで、表面の7割を占める。つまり外から眺めるぶんには、最も目立つ存在だ。にもかかわらず、まさに底の知れない謎を秘めている。実際、底がよく見えないことに、謎の解明をはばむ大きな要因がありそうだ。

しかも、そこには陸上にはない、想像を絶する規模の地形が、そこかしこに広がっているという。地質学者・地球科学者で海洋研究を専門とする藤岡換太郎さんは「一度でいいから海水をすべて取り去って、その絶景を遠望してみたい」と著書の中で繰り返している。

 【写真】地球の海には、想像を絶する地形が広がっているという
  地球の海には、想像を絶する地形が広がっているという photo by gettyimages

人工衛星や音波を使った海底地形の探査が粛々と進められているとはいうものの、その「解像度」は平均するとまだ1000m単位でしかない。一方で太陽系の隣人、火星の表面は100m単位でわかっている。最も解像度の高い画像では、25cmの物体でさえ識別できる。

火星の北半球には、かつて海があったと考えられているが、その底はまさに海水を取り去った状態だ。しかし残念ながら、そこには藤岡さんが眺めたいような「巨大地形」は見当たらない。海とは関係のない場所なら大峡谷や巨大火山などがあったりするのだが、海底だったと思しきエリア(ボレアリス平原)は、どちらかといえばのっぺりしている。

【写真】火星、ボリアヌス平原の見える側から
  火星の表面。上部の白い部分が北極冠で、それを囲むように黒っぽく見えているあたりがボレアリス平原 photo by gettyimages

それは地球とちがって、火星では「プレートテクトニクス」が起きなかったか、すぐに止まってしまったからかもしれない。プレートテクトニクスとは、惑星の表面が何枚かの硬い板(プレート)に覆われていて、それらが相互に動くことで、様々な地学現象が起きるという考えだ。

逆にプレートテクトニクスがあると、どうして巨大地形ができるのか。そもそも地球のプレートテクトニクスは、どのように始まったのか? それこそが、今般上梓された藤岡さんの『見えない絶景』におけるテーマであり、これまで明らかにされてきたことと、今後、検証されていくであろう藤岡さんの大胆な仮説とが、スリリングに語られている。