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疑惑の「河井夫妻問題」、新聞・テレビが見逃している「重大な論点」

法相任命は「指揮権」狙いだったのか

ポイントを外した各社の報道

6月18日、河井克行・前法相(衆院議員)とその妻の案里・参院議員が公職選挙法違反で逮捕されました。2019年に案里氏が広島選挙区で初当選した際、夫婦で違法な報酬をばら撒き買収まで行ったとする容疑で、近年まれな大疑獄といえるでしょう。

政治メディアの報道も過熱しており、

(1)克行氏が自民党内で安倍晋三首相への支持を取りまとめ、「側近」と呼ばれる地位を得ていたこと。

(2)広島選挙区には参院自民党の長老だが、安倍首相とそりの合わない溝手顕正議員(当時)がおり、案里氏の出馬には溝手氏を追い落とす意図があったとみられること。

(3)実際に案里氏の陣営には溝手氏の10倍に近い、1億5000万円もの政治資金が自民党から提供されていたこと――などに、日々注目が集まっています。

河井克行・前法相〔PHOTO〕Gettyimages
 

これらはたしかに大きな疑惑ですが、私には最大のポイントを外しているように思われます。そもそも参院広島選挙区は定数2で、当時から自民党としてのタテマエは「2議席独占をめざす」でした。そのため「政治のキャリアが若く、地盤の弱い案里氏の方を重点的に支援した」と主張すれば、苦しいとはいえ説明として通ってしまう。

当該の参院選は昨年の7月21日。克行氏の法相就任は9月11日です。このときは内閣の大幅改造が行われ、麻生太郎・副総理兼財務相と菅義偉・官房長官以外は全閣僚が入れ替え(閣内での横滑りを含む)となって話題を呼びました。

言い換えると、仮に論功行賞で克行氏を初入閣させるにせよ、ポストは任意のものを選べたわけです(ちなみに入閣前には、同氏はむしろ安倍氏の「外交」を補佐する側近とされていました)。なぜそのなかで、特に法相に任命したのか。その選択は誰が、どのような理由で推進したのか。それが解明すべき本筋ではないでしょうか。